コメント・書評 |
2001年度のベストSFが、既に入手困難!そんなバカな、だってこの本て北野のベストであるだけでなく、ある意味21世紀初頭の日本が生んだ世界に誇るべき不条理SFでもあるんですよ
みーちゃん
Jun 7, 2006 9:25:17 PM
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評価 ( ★マーク )
★★★★★
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「現在はお取り扱いができません」という表示がでてきていますが、何でこんな傑作が?と言いたくなる、そういう作品です。この作品は北野勇作の最高傑作であるだけでなく、21世紀初頭のわが国が生んだ世界に誇ることができる不条理SFではないか、それが何故簡単に入手できない?って思います。 「クラゲ荘という木造二階建のアパートに住むかめくんは亀ではない。甲羅をもち二足歩行をし、図書館で本を読むレプリカメだった。」ユーモアSFとも不条理SFともいえるお話で、2001年度の日本SFのベストに選ばれています。たしかにこの面白さはただものではありません。 カバー後の紹介ですが 「かめくんは、自分がほんもののカメではないことを知っている。ほんものではないが、ほんもののカメに姿が似ているから、ヒトはかめくんたちのような存在をカメと呼んでいるだけなのだ。だからカメではなくレプリカメと呼ばれたりもする。−−「木星戦争」に投入するために開発されたカメ型ヒューマノイド・レプリカメ。「どこにも所属してない」かめくんは、新しい仕事を見つけ、クラゲ荘に住むことになった。しかしかめくんはかめくんであってかめくんでしかないのだった…。異才が描く空想科学超日常小説。」 となっています。早速、読んでみましょう。 かめくんは、勿論、亀ではありません。かめくんはそれを知っているのですが、では自分が何者かというと、それはよくわからないのです。でも甲羅を背負っていて、そこには大量の記憶が残されているような気がしています。そんなかめくんが住むようになったのがクラゲ荘という木造二階建のアパート。管理人のカシワギハルさんが最初に言ったのが「なんだ、カメなのかい」だそうです。町を歩いていると、子供たちが指さしながら「カメ」といい、そっと甲羅に触れていくそうです。 そんなかめくんの好きな生き物が猫、食べ物ならりんご。そして、勉強のために時々本を借りに行く町の図書館のミワコさん。かめくんが探し出した仕事が、フォークリフトの運転に近いもので、ザリガニに似たものを潰していくというものです。うーん、不条理が二乗になって襲ってきた感じです。 そのかめくんを採用したのがツキミさんで、職場には一寸うるさいシノノメ女史もいます。 昔の職場のキノネ主任が言ったレプリカメの一言。彼は一体なにものなのでしょうか。木星戦争のために開発されたというカメ型ヒューマノイドとかめくんの関係は。銭湯に憧れるかめくんを待ち受けるものは。そしてアパートのクーラーに隠された秘密とは。 巻末の「かめくんのあとがき」を読んで笑いがとまらなくなってしまいました。こういう、延々と続く説明口調って好きだなあと思います。北野勇作ってどんな人なのでしょう、全く情報がない本と言うのも不親切ですが、そんな不満を吹き飛ばす力が、この作品にはあります。 それから前田真宏のイラストがいいです。カバーだけを見たときは、てっきりコミックスだと思ってしまったほどです。でもよく見れば、太い線に哀愁があって、じつにいいものです。ちょっと違うかもしれませんが、はやみねかおるとコンビの村田四郎を思いだしました。なんとも味のある画風で、内容にピッタリです。 |
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