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顔のない裸体たち
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平野 啓一郎著
税込価格:
¥1,365
(本体 : ¥1,300)
出版 : 新潮社
サイズ : 20cm / 155p
ISBN : 4-10-426005-3
発行年月 : 2006.3
利用対象 : 一般
出荷可能時間:
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コメント・書評 |
劣等感と自尊心
ナカムラマサル
May 20, 2006 6:19:26 PM
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評価 ( ★マーク )
★★★★
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中学教師の吉田希美子は、生徒が利用していて問題になっている出会い系サイトを覗いてみる。最初はあくまでも仕事としてだったのだが、次第にのめり込むようになり、市役所勤めの片原盈〈ハンドルネーム・ミッチー〉と出会う。どれほど変態的なプレイを片原に強要されても吉田〈ミッキー〉は決して抵抗しない。いずれ片原は2人の性交をビデオに収めアダルトサイトに投稿するようになる。そして、ある事件をきっかけに、片原と吉田の身元と〈ミッキー&ミッチー〉の存在までもが白日の下にさらされることになる。 本書は、この事件が発覚した後のルポのような形で、片原盈と吉田希美子の足跡を丹念に追う。「女は男の性欲処理機」の偏った女性観をいかに片原が身につけていったか、不器量だが巨乳の持ち主である吉田の屈折した感情、これらを早く知りたくてページを繰る手が止まらなかった。特に、胸を突かれたのが吉田の次のセリフだ。 「美しい女を見かけても、以前のように劣等感を覚えることがなくなった。自分は、ここにいる誰よりも、淫らなことを経験している。しかも自分は、そうした淫らさからは最も遠いところできちんとした生活をしている。殆どの女は、人生でそのどちらか一方の面しか知らないだろう」 この部分を読んで、東電OL事件、もしくはデリヘル嬢になった中村うさぎの著書『私という病』を思い出した。性の対象とされることでしか自分の存在価値が認められない女がここにもいた、という思いだった。 2人の変遷を辿っていくと、劣等感に潰された日本人の病理といったものが見えてくる。現実の世界で異性に受け容れられなかった結果が、出会い系サイトであったりアダルト投稿サイトであるわけだ。当然だがこれらのサイトでは顔は現れない。 サイバースペースでの人格というものについて考えさせられる小説だが、エンターテイメントとしてのリーダビリティも持ち合わせている。 |
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