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ウースター家の掟  ウッドハウス・コレクション

ウースター家の掟(国書刊行会) P.G.ウッドハウス著
森村 たまき訳
税込価格: ¥2,310 (本体 : ¥2,200)
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出版 : 国書刊行会
サイズ : 19cm / 387p
ISBN : 4-336-04761-8
発行年月 : 2006.3
利用対象 : 一般

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内容説明

極北的理不尽美少女の無理難題を前に、またまたスープに浸かり続けるご主人様。あらゆる難問を解決し続ける天才執事ジーヴス、今回のお手並みはいかに! ウッドハウス・コレクション第2冊目「よしきた、ジーヴス」の続編。

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コメント・書評

コックと泥棒その叔母と達人(TheCook、TheThief、HisAunt&HisMaster)
星落秋風五丈原
May 5, 2006 8:45:59 AM
評価 ( マーク )
★★★★★

バーティがこよなく愛するダリア叔母からの依頼は、実に他愛のない事だった。「ある骨董店に行って、そこに展示されている銀のウシ型クリーマーを、せせら笑ってくる」
ところが店で、彼を大悪人だと思い込んでいるサー・ワトキン・バセットと、彼の姪マデラインに恋するロデリック・スポードとバッタリ。せせら笑うどころか、またまた誤解されてしまったバーティは、バセットと距離を置こうと考える。それなのに、サー・ワトキンのトトレイ・タワーズに滞在中の学友ガッシーから、「マデラインとの結婚が暗礁に乗り上げたから、こっちに来て欲しい」と電報で泣きつかれる。更にマデラインの従姉スティッフィーから「来るんだったら、やってもらいたい仕事がある」と意味深な電報が。かくてバーティ&ジーヴス主従は、世界中で一番行きたくなかった場所ートトレイ・タワーズに赴く事になるのだが…。
本作は『よしきた、ジーヴス』の続編にあたり、トトレイ・タワーズを舞台とした長編である。銀のウシ型クリーマーを巡るダリア叔母Vsサー・ワトキンの攻防、学友二人(ガッシーとスティンキー)とサー・ワトキンの娘&姪との恋愛騒動が物語の三本柱(メイン・プロット)となる。このメイン・プロットに、バーティの泥棒疑惑、巡査のヘルメット紛失事件、そして黒革の手帖ならぬ茶革の手帖探しといったサブプロットが、絶妙のタイミングで絡んで来て、バーティを次から次へとトラブルに叩き込んでいく。
「個々人の利害が衝突する時にあっては、誰かが貧乏くじを引かなきゃならないんだ」とのたもうバーティ。そして貧乏くじをひく「誰か」とは、いつもバーティ。「困ってる本人がやればいい!」とつっぱねればいいのだが、バーティにはできない。理由は二つ。
一つはウースター家の掟「汝、友を落胆させるべからず。」
もう一つの理由は、「本人」がやると、更にドツボにはまるから。バーティの失敗の多くは間の悪さに起因するが、バーティの学友達の場合は、致命的な不器用さを持ち合わせているので始末に負えない。結局は名参謀ジーヴスが案を出し、バーティが実行する安全策を取る事に。とはいえ、いつも損な役回りではない。今回はシリーズ中珍しく見せ場がある。キメ台詞を言う時のバーティに注目。「カッコイイ!」とキラキラ瞳を輝かせるファンが増えるかも?
それにしても、登場する貴族達は、揃いも揃ってナルシストで自己中心的。かつてバ−ティと婚約していたマデラインは、「あなたは自分が愛した女性(自分の事)に一目会いたくてここに来たんだわ」と大感激。また、マデラインの従姉スティッフィーは、自分を酷い目にあわせた巡査のヘルメットを、聖職者である婚約者に盗ませる事に、何の疑いも抱かない。そして最長老サー・ワトキンでさえ、ナルシシズムから抜け出せない。
バーティだって例外ではない。自分の事を「機密文書在中の金庫を物色中のヴェール姿の女性」「龍退治に取りかかろうとしている騎士」とは。うーん、読書傾向が何となくわかる(笑)。そんな彼等が生きていられた旧き良き時代の英国って、実に寛容にして偉大な国であったのだなぁ。
ああ、大英帝国よ、永遠なれ。
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