コメント・書評 |
「時間ですよ」も、「寺内貫太郎一家」も見たことはないけれど。
〜花巻温泉〜
Apr 9, 2006 8:49:23 PM
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評価 ( ★マーク )
★★★★★
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著者である久世光彦さんに興味を持ったのは、川上弘美さんが日経新聞によせた追悼記事(2006年3月4日付け)を読んだ時。「時間ですよ」も、「寺内貫太郎一家」も、見た記憶はない。だけど、川上弘美さんの文章から想像する久世さんは、久世さんの文章は、心にすっと沈み込んでいきそうで、著書を探した。 辿りついた本書。久世さんが向田邦子さんに想いをよせて綴った文章だという。向田さんといえば、表紙のモノクロームの写真の中でお気に入りのコーディネートで魅力的に微笑む「向田邦子の恋文」で、実らなかった恋に一所懸命だった姿を知った。その邦子さんに、指一本「触れもせで」、だが、久世さんが深い感情をもっていたという。 向田邦子さんが、仕事をしながら、仕事の間に、ふと見せる女らしさ、可愛らしさ、愛おしさを、多くの人が指摘している「艶っぽい」文章で綴られている。 二十年も「触れもせで」、だけど、これだけ大切に想われて。向田さんは天国で「やぁね、そんなに言いふらすことないじゃないの」とニコニコと言っているのか。久世さんは、「しばらくしたら、そっちに行くから。文句はそのとき聞くよ」と思っておられたのか。 報道から想像すると、久世さんの最期は比較的苦しみの少ないものであったろうかと思う。向田さんの最期も一瞬だった。おふたりが今頃どんな会話をかわしておられるのか、もはや知るすべはない。 私の机の上では、「マイ・ラスト・ソング」、「思いでトランプ」、「あ、うん」、がページを繰られるのを待っている。川上弘美さんの追悼記事は本書にはさまれて永久保存される。 |
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