 |
エンド・ゲーム
常野物語
|
コメント・書評 |
このシリーズ、文章がいいです。しっとりとしていて、それでいて気取りがない。こう、悲劇の予感がヒシヒシと伝わってきて。でも、個人的には『蒲公英草子』に及ばないかな・・・
みーちゃん
Mar 5, 2006 9:32:37 PM
|
評価 ( ★マーク )
★★★★
|
『光の帝国』『蒲公英草紙』に続く「常野物語」シリーズの第三弾、出版社の断りでは、三部作の最終巻だそうです。私は『光の帝国』の存在を知らずに、『蒲公英草紙』でこの話に出逢ったわけですが、絶賛をしました。造本も含めて納得の一冊でした。恩田の作品については手厳しい長女なども、これはいいよ、と褒めていたのは記憶に新しいところ。 で、その最終巻、ということですから『蒲公英』の延長で読めばいいかな、と思っていたんですが、ところがギッチョ左利き、越中と当て事は向こうから外れる、とあるように(ちょっと違うか)、全く予想外のお話になりました。ただ今、「やはり『光の帝国』から読まなきゃダメか」と反省中・・・ ことはそれほどに前巻の内容を引き摺ってはいません。目次を写しておけば(今回はあんまり意味無いんですが)、第一章 十二月十九日 金曜日、第二章 十二月五日 金曜日、第三章 十二月二十日 土曜日、第四章 十二月六日 土曜日、第五章 十二月二十二日 月曜日、第六章 十二月二十二日 水曜日、です。うーむ、こうやって改めて見ると意味深か・・・ 装画/藤田新策、装丁・本文レイアウト/松田行正+日向麻梨子 主人公は拝島時子です。今年大学を卒業する予定で、就職先も既に決まっています。父親の肇が行方をくらまして年になります。以来、母子家庭で、一家の大黒柱は母の暎子で、稗田物産の部長を務めているといいますから立派です。で、その時子が帰宅すると、どこか家の様子がおかしい。 何が、といって分らない。泥棒が潜んでいるとか、誰かが悪戯を企んでいるとか、そういうわけではありません。そうして不審に思っているところに、母親の秘書をしている女性から電話が掛かります。社員旅行に行っていたその旅館の前で、部長が意識不明になって倒れていたのが見つかった、というのです。 駆けつけた時子の前には、ただただ眠りつづけているとしかいいようの無い母親の姿があります。体にも脳にも全く異常がない、ただただ安らかに眠る暎子を前に、娘の脳裏を過ぎるのは「裏返された」という言葉です。小学校の時、校庭で見るようになったボーリングのピン、母も人々の肩にイチゴを見る、そんな親子の不安。旅先で、知り合いに会うといって出て行った母親が出会ったのは・・・ これを娘と話し合ったんですね。悪くはない。でも、『蒲公英草紙』ほどではない。何故か。長女が言うには、「あれって、常野は脇役でしょ。遠景にいる、それが今回は中央に出てきちゃった。その分、話が内に向いちゃったんじゃあないかなあ」っていいます。それに、こう最近流行の結末、みたいなところがあって、長女は「ありふれてんだよね」と斬る。 ま、恩田を私ほどに評価しない彼女の言ですから割り引いて聞けばいいんですが、こう、なんていうか最後は記憶みたいなところに入っていく。小説でやっちゃあいけないのが夢オチ、ですけど、最近は多重人格、擬似記憶、精神分析ってえ手垢のついたオチは、もうそれだけで減点、ってえ気がします。 もっと難度の高い技が出来るんだから、そっちでやってよ、二回半のジャンプなんて見たくないぜ、なんてえところでしょうか。無論、悪くはないんですよ。恩田の代表作の一つではあるとは思うんですよ。でも、シリーズの中では『蒲公英草紙』には及ばない、そう言っておきます。 |
|
|
| 現在の投票
はい:3人(75%)
いいえ:1人(25%) |
|
|
|
|



|