 |
能力構築競争
中公新書
日本の自動車産業はなぜ強いのか
|
コメント・書評 |
トヨタ自動車が日本にあることの幸せ
塩津計
Dec 29, 2005 9:46:06 AM
|
評価 ( ★マーク )
★★★★★
|
| 藤本隆宏教授の話を直接聞く機会が何度かあった。教授曰く、本書は自分で立つことの出来る(つまり自立できる)数少ない新書なのだそうだ。たしかに新書にしてはページ数が多い。しかし、その論旨は明快で本の厚さを気にすることなく一気に読み通すことが出来る。教授は製造業を「モジュール型」と「擦り合わせ型(インテグラル型)」の二つに分類し、米国や中国が得意なのはモジュール型である一方、日本はインテグラル型のものづくりでは圧倒的な強さを維持し続けていると主張する。90年代は米国発のモジュール型が世界で猛威を振るった10年であった。モジュール型とは企画力、デザイン力がすべてで世界に自国発の規格を普及させ、それに付加する知的財産権に利益の源泉を特化させていこうという戦略だ。いわゆるスマイルカーブ曲線という付加価値曲線の捉え方がこれを象徴しており、製造業ではデザイン部門・企画部門と販売部門に付加価値は集中し、製造業は一番儲からないので、どんどんアウトソースしてしまおうという発想だ。この米国流の考え方に呼応したのが中国で90年代、米国と中国は手に手を取って急成長を遂げた。しかし藤本教授は「すべての工業製品がモジュール化されているわけではない。デザイン、、製造、販売、サービスが一体となり綿密な連絡を取りながら微調整を繰り返し全体最適の製品を生み出すインテグラル型の製造業というものもあるんだ」と主張し、これを最も効果的に実践しているのが日本の自動車産業で、その代表選手にして最優秀選手がトヨタ自動車だ喝破した。藤本教授の優れたところは日本の自動車産業含む製造業全般、経済活動全般が停滞した90年代にいち早くこの事実を見抜き、指摘して「日本の強み」を経済界に提示し、日本が自信を取り戻すことに大きく貢献したことだろう。トヨタ自動車を抱える中京圏が活況を呈する中で、公共事業に依存し東京マネーにぶら下がり続けた地方がどん底に落ちつつある昨今、藤本教授の慧眼は敬服に値する。トヨタ自動車はいま、続々と海外に工場進出し、日本発の「もの造り哲学」を世界に広め始めている。フォード、GMの業績が急降下する中で、その同じ米国の土壌で倍倍ゲームで成長を続けるトヨタ。トヨタで働く従業員の表情はやる気と自信であふれている。日本は本当に素晴らしい会社をもったものだ。ありがたいことです。 |
|
|
| 現在の投票
はい:5人(56%)
いいえ:4人(44%) |
|
|
|
|



|