コメント・書評 |
“天才の苦悩”と“凡才の苦悩”、その見事な書き分けが光る……本当におもしろい、本物の「ロボット小説」を渉猟している、そんなあなたに。
陰日向弁慶
May 21, 2005 12:50:28 AM
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評価 ( ★マーク )
★★★★★
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「おまえは、どこにでもいる普通の男の子だ。栄光にはほど遠く、英雄と讃えられることもない。それゆえに、尊いのだ。」 このセリフは、『5121小隊 熊本城決戦』おいて、自らの不甲斐無さを自覚しながらも、努力では決して越えられない壁の高さに、不安と焦燥を抱いていた少年に、彼が搭乗するロボットの生体脳内の自意識として存在する少女(詳細、今だ不明)が、投げ掛けた一言です。『ガンパレード・マーチ』に対する私の想いは、この一言ですべてが表現できます。 私は、その作家が好みか・否かを判断する一つの基準として“登場人物に対する対等な視野の広さ”を設けています。極論すると、「引き立て役の脇役・敵役にも、良いところは必ずある。主人公たちとの邂逅後の彼らの成長譚も読んでみたい!!」というところまで、行き着きます。 私は、この作品のTVゲーム版の方は購入したのみで、僅かしかプレイしておわず、原作との相対的な読み比べは行っていませんが、メインキャラだけで老若男女合わせて25人と一匹という多彩な人物像を、ノベライズシリーズ化を担当した榊涼介氏は自らの想像力と拘泥りを総動員させて、非常に深みのある人間模様を描いています。その一つが、“天才の苦悩”と“凡才の苦悩”との見事な書き分けです。ロボットものに、エースパイロットの存在は不可欠ですが、そこにだけ焦点を当て特別視するのではなく、その陰で活躍する等身大パイロットや縁の下の力持ちである整備員たち一人一人を物語の中で巧妙に配置し、日常・非日常をコミカル&シリアスに丁寧に書き綴った群像劇は、毎巻「希望と夢」を胸に響かせます。 ちなみに、余談となりますが、この「ガンパレード・マーチ」シリーズは、出版社の都合のためか、“物語の中で進む時間軸”と“実際の本の発行ペース”とが噛み合っていません。お節介かもしれませんが、私自身がお薦めする、当小説シリーズを10倍楽しく玩読する正しい順番を表記します。 『ガンパレード・マーチ episodeONE』→『ガンパレード・マーチ episodeTWO』→『ガンパレード・マーチ 5121小隊の日常』→『ガンパレード・マーチ 5121小隊 決戦前夜』→『ガンパレード・マーチ 5121 熊本城決戦』→『ガンパレード・マーチ あんたがたどこさ♪』→『ガンパレード・マーチ 5121小隊 九州撤退戦〈上〉』→『ガンパレード・マーチ 5121小隊 九州撤退戦〈下〉』→『ガンパレード・マーチ もうひとつの撤退戦』 (平成17年5月21日現在) ※<広崎悠意著 『高機動幻想ガンパレード・マーチ』> ↑『熊本城決戦』までを一冊で読める、一味違うオモシロさがあるコンパクト版です。 |
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