コメント・書評 |
江国香織さんもお気に入り−−こぐまの<くんちゃん>の絵本シリーズ。夏向きなら、この1冊。幼児が好む生活のお話を野暮ったくなく絵本化しています。
中村びわ(JPIC読書アドバイザー)
Jul 23, 2001 8:24:00 PM
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評価 ( ★マーク )
★★★★★
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<くまのパディントン>や<くまのプーさん>など、子どもの本の世界には、くまの有名人が何匹かいる。それらに比べると、このこぐまの<くんちゃん>は実に地味な存在だ。
有店舗書店で子どもの本をかなり揃えている売り場でも、7冊あるシリーズはいわゆる棚差しの扱い。面陳といって表紙が見えるように立てかけられたのを一度見たことがあるだけだ。それはシリーズ中の『くんちゃんのはじめてのがっこう』で、私が7冊の中で一番好きなお話だった。新一年生に響くとても素敵な内容だ。<新入学フェア>で並べられているのを見かけたが、春にもっと並べてくれてもいいのになあと毎年思う。
−−くんちゃんの絵本には四季がある。あたたかな家族がいて、生活がある。世界は、つつましい輝きにみちている。
上は、江国香織さんがお気に入りの絵本について綴ったエッセイ『絵本を抱えて部屋のすみへ』で、この<くんちゃん>の絵本シリーズに寄せて書いた文章の最後の3行である。 さすが繊細な感性と慧眼、あふれるパッションの持ち主・江国さん!−−くんちゃんの絵本の魅力を「つつましい輝き」という見事な言葉でとらえている。
そこに僭越かつ蛇足でつけ加えることがあるとするならば、この絵本のシリーズの各巻には必ず「自分らしさの発見」があるということだ。 周囲と自分の区別がまだつかない乳児期、夢の中を生きているような幼児期の子どもに、そのようなテーマの絵本を読んでともに眺めることの喜びにいつも私はひたる。
自分の身の回りの世界がどうなっているのかをわかっているような、わかっていないような子どもにとって、日常生活に根ざしたお話の意味はとても大きい。 生活習慣を紹介して、しつけに役立てようという内容の絵本が日本では多い。それが野暮ったく感じられるのに対し、「そんな素敵な発見をしたの」「それはいいアイデアね」と思わず声をかけたくなるような、くんちゃんのお話は広い世界に開いている。 どれもが子どもの目線上にある。普通に生活している子なら誰もが体験できそうな身の丈に合ったお話だ。
この『くんちゃんのもりのキャンプ』は、サマーキャンプが盛んなアメリカの子どもたちに向けて作られたのだと思う。日本の幼稚園でも、年長の夏休みに<お泊り保育>を実施する園もあるだろう。親と離れての珍しい体験に臨む子どもたちの気持ちにフィットしたお話だ。 いとこのアレックと森を抜けていくくんちゃん。こまどりに巣(寝床)の作り方を教わり、あひるに泳ぎ方を教わり、かわせみに魚のとり方を教わって、目的地に着く。いざ、教わったことを真似て行動しようとしても、うまくいかない。 「くまにはくまなりのやり方というものがある」ということをアレックとの体験を通して知るのだ。 スミ1色のペン画にグリーンのタッチを施しただけ−−簡素なイメージに作られた本である。飾りなくものを伝えることの素晴らしさを教えられる気がする。 |
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