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ロシア幽霊軍艦事件
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コメント・書評 |
ミステリとしてよりも、小説として、その熱気がたまらない。戦争だろうがなんだろうが、女を犯すことしか考えられない軍人たち、男の本質が醜い
みーちゃん
Sep 7, 2004 9:33:00 PM
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評価 ( ★マーク )
★★★★★
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《松崎レオナからの手紙、それは箱根の富士屋ホテルのマジックルームに飾られているという謎の写真に纏わるものだった》
信じられないような不思議な事件を思いついては、力技で解いて来た島田荘司。こんどは、彼が歴史の謎に挑んだ。浮かび上がるのは、歴史に翻弄された男と女の悲しい人生。事件の底に潜む歴史を語る島田の口調は、触れれば火傷するほどに熱い。
アメリカで暮らす女優松崎レオナ。日本から届いたファンレターには「祖父の遺言は、レオナからアナ・アンダーソンに名倉が謝っていたと伝えて欲しいというものだった、できればレオナに願いをかなえて欲しい」と書かれていた。手紙の差出人に覚えは無い。しかも、その人も事故で死亡。アナにも名倉にも面識の無いレオナは、その謎を解いてもらおうと友人の石岡に手紙を送る。
いつもなら、レオナと聞いても全く動こうとしない探偵 御手洗潔は、珍しく今回の手紙に興味を示し、早速富士屋ホテルに向かう。明治政府の支援のもとに建てられたという東洋一のホテル、そのマジックルームの壁に飾られていたという写真は、故あって壁から外され、人目に触れることなく蔵われていた。そこに彼等が見たものは、降りしきる雨の芦ノ湖に浮かぶ巨大な軍艦と、そこから下りる一人の女性、そしてロシア軍人としか思えない男たちの姿だった。
戦前は軍からその存在を口止めされた写真。人に知られること無く、どのようにして巨艦は山中の湖に浮かぶことが出来たのか。亡くなった名倉ゆりとは何者か。アナ・アンダーソンとゆりの祖父との関係とは。20世紀の世界のあり方を決定した事件の背後にあったものとは。男たちの欲望、国家の策略。
他人の幸福を嫉む心貧しき人々に貶められた女性の悲劇を、最新の調査結果を下に歌い上げる歴史本格推理長編。この本の石岡も何時に無く冷静で、御手洗は熱く事件に取り組む。小説の面白さは本の厚さではないことを教えてくれる。間違いなく島田作品のベストの一つ、熱気が伝わってくる。
造本は、如何にも講談社風だが、実は原書房。最近、推理小説に力を入れている出版社からの一冊。 |
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