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石橋を叩けば渡れない。
新版
西堀流創造的生き方
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コメント・書評 |
格別の公演録
北祭
Mar 2, 2004 9:36:00 PM
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評価 ( ★マーク )
★★★★★
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西堀栄三郎氏は、第一次南極越冬隊長として、あの極寒の地で日本人部隊としての初めての冬ごもりを指揮した人である。何から何まで初めてづくし。常に新しいことに挑戦する究極の現場を体験した氏の探検家的精神は他に抜きんでていた。 自己啓発の本や伝記の類は世に多い。その中にあって、西堀氏が生き方について述べるにたる人物であることは本書の始めにある次の話にみられる。
ときは第一次世界大戦の終わり。そのころ学生であった西堀氏は、安い費用で行けるだけ遠くに行ってみるとの決意のもと、船に乗ってサイパン、ヤップ、パラオ、アンガウルをまわった。その帰りの小笠原入港直前に事件が起こった。関東大震災である。横浜は一面に焼け落ちた市街と死体の海。
「そのとき困ったことは、船の中に、サイパンから上智大学に留学しにきた現地の男の子五人と女の子三人がいたのです。何しろこんなありさまですから、上陸しても行くところがない。そこで私が<男の子は引き受けましょう>といったら、子供たちはとてもよろこびました」
こうして京都の家に子供たちを連れ帰ったのだという。もし自分が同じ状況に直面したとして、この五人の子供を躊躇なく連れ帰り、面倒をみることが出来るであろうか。そう自問したとき確信をもった。「この人の話は読むに値する」と。
本書は公演録のなかの選りすぐりが丹念に集められたものである。その編集の意図は成功しており、さらりとした語り口の中にも示唆に富む話題が多い。 第一次南極越冬隊の発揮した創造話もこころに残るが、ここでは西堀氏の企業人へのメッセージを紹介してみたい。
西堀氏はいう。 仕事の報酬つまり給料というものを、我慢をして仕事をするからその償いとしてもらっているという考え方、仕事は面白くないものでいわれるとおりに働いておればいいんだというのは、全然まちがっている。人と馬や牛とを分かつものは<創造性>にあるのではないか。動きたい、働きたい、考えたい、創造性を発揮しながら楽しく仕事をしたい、そして喜ばれたい。<人間性>とはこういうところにある。 部下の手足を括り自由を与えないでおきながら責任を果たせという上役があるが、その態度は間違っている。仕事の<目標は絶対>であるが、それを達成する<手段には自由>をあたえるべきである。そして、その自由のなかで人は創造性を発揮することができる。
本書の核となる<創造性>についての言及は、創造の現場を知っている西堀氏による経験と実績を踏まえての教訓である。仕事に対する心意気、先入観に捉われず、心の自由を意識してひとつの成果を目指すという指針は明日の仕事に生かすことができる。それが本書を格別なものにしている。 |
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