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はじめての構造主義  講談社現代新書

はじめての構造主義(講談社) 橋爪 大三郎著
税込価格: ¥756 (本体 : ¥720)
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出版 : 講談社
サイズ : 18cm / 232p
ISBN : 4-06-148898-8
発行年月 : 1988.5
利用対象 : 一般

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内容説明

西欧文明中心の近代に終わりを告げ現代思想に新しい地平を拓いた構造主義。レヴィ=ストロースの親族・神話研究の、鮮やかな方法と発想の背景に見えてくる、ソシュール言語学やモースの贈与論。そして遠近法にまでさかのぼる、数学史の水脈に隠された〈構造〉のルーツ。モダニズムからポスト構造主義への知の戦線に、軽快な文章で歯切れよく迫る!

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コメント・書評

はじめての『はじめての構造主義』
さいとうゆう
Feb 18, 2004 10:48:00 PM
評価 ( マーク )
★★★

 絵画において、奥行きを表現する方法としての遠近法は「ウソ(=虚構)」である。二次元の平面に、三次元の空間を写しとれるわけがないからだ。遠近法とは、二次元をあたかも三次元のように見せかけているだけであって、そこには「あるたった一つの視座から見た世界として画面が構成される」という虚構が孕まれている。

 神の被造物としての立場を離れ、魔物や悪霊などの非合理なものたちを追放し、神に替わって人間が人間を規定するようになったのが近代という時代であり、そこにおいて思想としての人間中心主義は確立する。主体としての人間という立場を明確に自覚し考察することを通して、人間は「知のシステム」を構築してきた。その歴史に対して「否」を唱えたのが「構造主義」である。

《遠近法は、“ものを見る制度”であり、ヨーロッパの知のシステムの特徴をたいへんよく表している。そして、遠近法が解体していくその果てに、〈構造〉が登場する》(pp.153-154)

 「構造」とは、建築における骨組みのような、具体的で実体的な概念ではない。何気なく過ごしているだけでは気がつけないような、私たちにとって「当たり前」だと思われている物事のうちにある「型」や「仕組み」のことだ。それは、個としての主体にこだわっている間には決して浮かび上がることのない、共有された「集合的思考」の領域のことだ。

《知のシステムは、主体を前提としている。ところが構造主義は、〈構造〉みたいに、主体を超えた無意識的・集合的な現象が重要だ、と主張する》(p.127)

 禁忌(タブー)にルールがあり、神話にも構造がある。「ジャンケン」において大切なのは「三すくみ」という〈構造〉であって、「はさみ」や「石」、はては「兵隊」や「上官」などの表層事項は恣意的であって構わない、つまりどうでもいいことなのである。視点によって対象は姿を変えるが、複数の視点のうちに孕まれている共通性を見い出すことが出来たとき、本質としての〈構造〉がその相貌を明らかにする。

《構造主義は、西欧近代の腹の中から生まれながら、西欧近代を食い破る、相対化の思想である》(p.24)

 〈構造〉は不可視であるゆえに、普段は気づかない「透明」として流通している。それを掘り起こし「自前のモダニズム(制度と責任の思想)」を構築していこうとするのが、橋爪流「構造主義」なのである。

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