コメント・書評 |
今までそこにいたものは?
グリーンアイ
Jan 24, 2004 12:45:00 AM
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評価 ( ★マーク )
★★★★★
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アーサー・C・クラークの作り出した異星人の中で最も冷静で尊厳にあふれた異星人がカレルレンだ。地球上空を覆う幻の宇宙船団の総督。完璧な言語を話し、地球の全面的統治を告げる。あらゆる攻撃を受け付けず、示威活動も完璧だ。カレルレンは慎重だ。必要なときまで決して姿を見せない。彼の声だけを人類は知っている。他は何も知らない。このカレルレンの謎をめぐって話が進行する。彼は、人類が「オーバーロード」を信頼する時間を計っているのだ。 そして、ついに姿を現した彼はとてもすてきな恰好をしていた。そう、古の昔から人々が民間伝承や絵画でよく知っている姿だった。短い角、強靭な翼と逆とげのある尻尾をもつ姿。しかし、誰も怯えない。子供たちが彼を受け入れていたからだ。彼は、オーバーロードの命に従って、人類の統治を慎重に進める。長い長い秘密の計画が成就するまで。数世紀をかけて静かに見守っていくのだ。
カレルレンたちは、コリン・ウィルソンが提出した人類の課題である「退屈さ」を超越した存在である。この世界では、人類さえも退屈しない。不思議で誠実な世界の物語なのだ。遥かな未来の予兆におびえながらも、ゆるやかに時は流れていく。そして、新世代の人類は自らに目覚め、約束の地を目指し、地球ごと旅立っていく。うらやましくもゾッとする物語である。
数世紀もの時を退屈せずに過ごせる超知性というのはどのようなものなのだろう。あなたや私であれば、あっという間にこんな仕事に飽きてしまうだろう。気の遠くなるほどの時間が、ただ流れていくのだ。もっとも、カレルレンたちの科学力は、生体時間を自由に伸縮させることができるようなので、生体時間を調整することができるのかもしれない。しかし、それによって超知性は強烈な生を生きることができるのだろうか?
そして、統一世界を実現し、黙って運命を受け入れていく人類は、我々とは違った人類なのだろうか。それとも現実の我々人類もこのような進化が可能なのだろうか? この物語の魅力は、そんな一縷の希望を抱かせるところにあるのかもしれない。
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