コメント・書評 |
三冬浪漫〈大治郎さま!〉
流花
Jun 22, 2003 10:12:00 PM
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評価 ( ★マーク )
★★★★★
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とうとう来てしまった! 三冬ファンなら、誰もが夢見ていたであろう、その日が。そう、三冬が大治郎の妻となる日が。 しかし、ただでは妻とならせないところが、心憎いではないか。“三冬さま危機一髪”のところを救い出す…そんな演出があってこそ、妻となる喜びも大きいのである。やはり“大治郎さま”は、助けに来てくれるのである。そればかりか、“大治郎さま”の苦悩も、見事に描かれていて、「三冬うれしい」! 「三冬どのは、練香の在処を曲者どもに洩らすまい。そうなれば、どのような拷問に合うやも知れぬ。それが…それをおもうと、私は…」(絶句) 「そんな悠長なまねをしていて、どうなる。三冬どのは、どうなる!!」 「長次。たのみがある。秋山大治郎が一生一度のたのみだ。聞いてくれるか…」 (三冬どのは、もはや、この世の人ではないのではないか…?) 堅物で、不器用で、三冬への気持ちなど、とうてい口に出すことなどできない大治郎だが、『品川お匙屋敷』では、ここぞとばかりに、大治郎の気持ちが噴出されている。この救出劇を受けて、田沼意次が、「三冬めを、妻に迎えていただけぬか。」と申し出るのである。…でも、三冬ファンとしては、ちょっと物足りない。聞きたかったなぁ。そう、大治郎さまのプロポーズの言葉。…池波正太郎さん、そんな構想はなかったの? 機は熟していたのかもしれないが、何かあっけない感じは否めない。だが、池波正太郎さんは、ちゃんとフォローしている。次の話、『川越中納言』の中で、小兵衛に、こう言わしめている。「…三冬どのが他の女性より特に優れていると申すのではない。ただ、大治郎にとって、かほどに似合いの妻を得たことが仕合わせと申したのじゃ。」…とは言っても、新婚早々、大治郎を旅に出すのは、ちょっと意地悪ではないか。その旅先で知り合った、大治郎と同姓同名の男の妻が、まさに本書の表題作の『新妻』なのであるが…。『「秋山殿の新妻が、夫をはげまして自害したことを聞かなんだら、私は、秋山殿を助けたかどうか…?」「大治郎さま…」「何です?」「その、おこころが、三冬うれしい」膳を押しのけるようにして、三冬が大治郎の胸にすがりつき、「ようなされました」「む…」…三冬を抱きしめた大治郎が…』ちゃんと新婚ムードは用意してあります。…三冬さま、やっぱり夫婦は、いつも一緒でなくてはいけませんよね。いつもそばにいるからこそ、生きているからこそ、励ますことができるのですよね。
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