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白い鬼  新装版  新潮文庫

白い鬼(新潮社) 池波 正太郎著
税込価格: ¥580 (本体 : ¥552)
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出版 : 新潮社
サイズ : 16cm / 380p
ISBN : 4-10-115735-9
発行年月 : 2002.11
利用対象 : 一般

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コメント・書評

三冬浪漫〈恋〉
流花
Jun 22, 2003 2:15:00 AM
評価 ( マーク )
★★★★★

 人は、いつからそれを“恋”と認識するのだろうか。
 ある日、三冬は見てしまった。木立の中での男と女のおどろくべき姿態を。(汚らわしい…)と思いつつも、あの時のみだらな姿が、脳裡からはなれない。(大治郎どのも、妻となる女に、あのようなまねをなさるのか…?) 大冶郎と自分が、“男と女”であることを意識した瞬間、またそれは、“恋”というものが現実となって、一気に迫ってきた瞬間でもあっただろう。
恋する気持ちというものは、隠しきれないものである。その人の体から、そこはかとなく漂ってしまうのである。負傷した大治郎。「私が、若先生の看護を…」と言う粂太郎に、小兵衛は、「いや、今夜だけは、別の人に看護させてやれ…」と言う。「別の人…?」「それ、向こうからこちらへやって来る。…いさましい女武道の佐々木三冬というのがやって来るわえ」。小兵衛は、看破していたのだろうか。三冬が、“恋する女”であることを。
 そして、“恋する女”というものは、大胆である。相手も自分を好いているに違いないと、確信しているのだ。「私をうち負かすほどの男なれば、いつにても嫁ぐ」…こんな無鉄砲な条件に、名乗りをあげた男がいても、そんなの眼中にないのだ。眼中にあるのは、ただ一人…。「三冬どのを、あんな男の妻にさせるわけにいかない!」そう思いながら、はっと気付いた男。自分に、三冬への恋慕の情があることに気付いた男。“白馬に乗った王子様”は、必ず危機を救ってくれるのである。
 “恋”を認識し、たった一人のその“王子様”に向かって、ラストスパートをかける三冬。いや、三冬ばかりではない。本書『白い鬼』、最後の話「たのまれ男」のラストシーン、小兵衛のセリフ。「そういえば佐々木三冬…いや、お前の恋女の始末を、これから、どうつけるつもりかよ?」
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