コメント・書評 |
三冬浪漫〈涙〉
流花
Jun 20, 2003 1:12:00 AM
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評価 ( ★マーク )
★★★★
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夫には言えない、結婚する前の出来事というものがある。夫に対して、後ろめたいことは何もないのだが、どうしても言えないことがあるものだ。秋山大治郎の妻、三冬にもあった。…若き日の三冬の手に、口づけをし、去っていった男。しかも、数年後の現在、偶然にも、その男と再会することになるのだ。三冬は、大治郎の息、小太郎を生んだばかり。女としての幸せのただ中にいる。運命は、そんな三冬に何故、彼を再び巡り合わせたのだろうか。 “一度道を踏み外してしまった人間は、もう二度とまっとうな道を歩めない”。これは、この『剣客商売』シリーズの中にたびたび登場するテーマである。醜い姿ゆえ、他人から疎んじられ、姿を消すしかなかった男。剣の道を歩む者として、人を外見のみで評価し、疎んじるなど、許せぬ行いである…三冬は、その男のたった一人の味方であった。しかし…その男の末路が、女を人質にとっての立てこもりである。 振り仰いだ三冬の目にふつふつとこぼれる熱いもの…大治郎さまは、とうてい知るまい。その涙に込められた三冬の思いを。 「その日の三冬」。夫の知らない妻の歴史。「大治郎さまは知らなくていいの。だけど大治郎さま、そばにいて…」。 人生の“勝ち組”、“負け組”。そんな言葉が胸にしみる、本書『勝負』である。
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