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スカイ・クロラ
C・novels
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コメント・書評 |
理由のない退屈凌ぎ
たからにゃ
Mar 6, 2003 10:59:00 PM
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評価 ( ★マーク )
★★★★
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現実を崩壊させる力を持った作家が好きだ。私たちは今のこの毎日の生活が永遠に続くような感覚にともすれば陥りがちであるが、それは錯覚にすぎない。しかし、彼らは知っている。そして、虚構の力で現実を震撼させる。私は薄氷の上を歩いていたことを思い出し、愕然とするのだ。森 博嗣は、確かにそうした力を持った作家である。また、随所にちりばめられた、彼の人生に対する洞察はきらきらときらめきを放ち、心の中でわだかまり、くすぶり、もやもやと行き場のなかった思いに形を与えてくれる。
主人公カンナミ・ユーヒチは、戦闘機乗りである。彼がかろうじて生きていることを実感するのは、空で戦闘機を操り、人を撃ち落とすとき。しかし、それすら、退屈凌ぎでしかない。彼は思う。
「仕事も女も、友人も生活も、飛行機もエンジンも、生きている間にする行為は何もかもすべて、退屈凌ぎなのだ。 死ぬまで、なんとか、凌ぐしかない。 どうしても、それができない者は、諦めて死ぬしかないのだ。」(本書より)
かれは、ただ淡々と、出撃する。今日も生きて帰ってきたという喜びすらない。毎日会社へ出かけていくように出撃していく。帰ってこない時は、誰かが、「僕をころしてくれ」たときだ。人と違う自分。思い出すことすら忘れてしまった過去。現実と夢とがとけあっていく。彼女は自分で、自分は彼女。そして…
私も、何のために生きているのか、もうずっと考えている。何かの拍子に「エウレカ」と叫びたくなるほど答えがわかったような気がしたのに、それは一瞬でどこかへ行ってしまった。今はまた、どうしてだろう、なんのためなんだろうを繰り返している。そのうちにそんなことは考えなくても、毎日がすぎていくので、ともすれば忘れそうになる。だから、本を読む。
人生は「退屈凌ぎ」。これはおもしろい。思っても見なかった答えだ。当分これを考えていると退屈しなくてすみそうだ。 |
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