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いちばん初めにあった海  角川文庫

いちばん初めにあった海(角川書店) 加納 朋子著
税込価格: ¥580 (本体 : ¥552)
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出版 : 角川書店
サイズ : 15cm / 277p
ISBN : 4-04-353901-0
発行年月 : 2000.5
利用対象 : 一般

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コメント・書評

死を自覚していない死者の語り
kumataro
Jul 9, 2011 9:17:24 AM
評価 ( マーク )
★★★★★

いちばん初めにあった海 加納朋子 角川文庫

 ふたつの作品がひとつの物語を形成しています。「いちばん初めにあった海」、そして、「化石の樹(き)」です。
 それぞれ好みがありますが、この作家さんの文体はわたしに合います。意味がとれない部分が多々あるのですが、それでも気持にしっくりきます。この小説には、「謎」が多い。別の面として、はかないけれど、しっかり構築してある「詩」です。いちばん初めにあった「海」は、子宮の中にある、たしか羊水という名称の水分を指すと考察します。主人公である堀井千波(ちなみ)さんは、亡くなっているのです。彼女は死後の世界から読者に語りかけているのです。彼女は17歳の若き義母という立場で転落事故死しています。彼女は自分が死んでいることを知らない。死んでいるから目は見えないし、言葉を発することもできない。あの世へ行けない霊魂です。そんな彼女に会いに来たのが、成長した義理の娘、YUKIなのです。もっと踏み込んで考えると、千波さんの魂(たましい)のなかに、YUKIが存在しているのです。
 作者自身のことを語る私小説のようでもあります。冒頭付近は、文章がブツブツと切れていたり、つながっていたりして円滑ではありませんが、才能をうかがわせる内容となっています。「化石の樹」まで読むと、こういう時空間移動(じくうかん)もあるのかと感心させられます。からまっていた「謎」は、霧がだんだん晴れるにつれて、姿を現してくる。表現に具体性がないから読者は想像を続ける。
 だれかがだれかを裁(さば)こうとしている。裁く者も裁かれる者も「救い」を求めている。たいした記述です。恐れ入りました。
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