コメント・書評 |
異世界
kumataro
Apr 2, 2011 9:15:30 PM
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評価 ( ★マーク )
★★★★★
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あなたにほめられたくて 高倉健 集英社文庫
わたしが作者について知っていることは、やくざ映画の俳優だった。わたしと同じ福岡県の出身で家出した。(わたしも就職という手段で、合法的に家出した。)日本映画「幸せの黄色いハンカチ」を見た旧ソビエト連邦に住むおばちゃんが号泣した。作者は歌手と結婚して離婚した。かたくなで無口に見えるけれど実はよくしゃべる。(そんなふうには見えない。)わたしの母親と同い年くらい。もうずいぶん前に作者がどこかで死んだという噂が流れて、世界の株価が下がった。日本にいることは少なくて、外国を放浪するように旅している。 「あなたにほめられたくて」のあなたは、お母さんです。すぎもとまさとさんという人の歌で「吾亦紅(われもこう)」という歌があります。歌の中で何度も「あなたにあやまりたくて」という文節が登場します。そのあなたもお母さんです。親不孝を詫びるせつなくてつらい歌です。男子はいつもお母さんにほめられたいし、あやまりたいのです。 この本の内容は、思い出のふりかえりです。読みながら書き手は作家ではないと、あたりまえのことですが、再確認しました。体験の数々が尋常ではありません。凡人には経験できないことばかりです。映画のロケというのは長い海外生活です。体験の質が違います。すごすぎる。モンゴルでの「映画」の地位の高さには驚きました。同国は文化を大切にする国です。 なりたくてなった役者ではないそうです。たとえば、女優さんというのは、なりたくてなるのではなく、なりたくなくても周囲がならせてくれるものなのでしょう。 読みながら自分は書き手とは違うという強い印象が生まれます。書き手と同じような生活はできないと首を横に振りながら、また映画の世界でも働けないと思い知ります。先日、千利休の本を読んだのですが、高倉健氏と千利休氏は性格において共通するものがあると感じます。頑固、追求、極めるというところです。 書中に「催眠術」の記述があります。書き手や読み手を始めとして、世界中のすべてのひとたちが催眠術で動いているのではないかと、読み終えて感じたのです。
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