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悪党たちは千里を走る  集英社文庫

悪党たちは千里を走る(集英社) 貫井 徳郎著
税込価格: ¥780 (本体 : ¥743)
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出版 : 集英社
サイズ : 16cm / 458p
ISBN : 978-4-08-746348-4
発行年月 : 2008.9
利用対象 : 一般

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コメント・書評

みんなが詐欺師
kumataro
Mar 18, 2011 8:31:18 PM
評価 ( マーク )
★★★★

悪党たちは千里を走る 貫井徳郎 集英社文庫

 悪党とありますが、読むとそれほどの悪党でもありません。善良さを備えた素朴な人間たちです。千里を走るのは車ですが、千里(4000km)も走りません。タイトルは違うものでもよかった。事件は誘拐です。
 偽名山本こと高杉篤郎は、勉強ができました。でも勉強ができただけです。だから社会人になって営業職が務まりませんでした。偽名三枝晶子こと三上菜摘子は東京大学卒ですが、会社での男女差別に憤りを感じて離職しました。お金持ちの息子渋井巧10歳小学校5年生は親の愛情に恵まれていません。彼らをとりまく数人の人々を含めてみんなが詐欺師です。
 「大誘拐」という映画がありました。誘拐されたおばあさんが犯人と共謀して自分の親族を脅迫するのです。読書の途中、そのパターンかと予測しましたが異なっていました。面白い。映画化に適した素材です。それとももう映像化されているのかもしれない。巧君の個性はすばらしい。魅力があります。
 お金のむなしさあり。読者は展開に翻弄されます。たぶんこうだろうと思って読むとそうではないのです。読者はきょとんとしてしまいます。真犯人は何者なのか。お金に困っているだけでは犯罪は起こらない。そこに自尊心を傷つけられたという恨みが生まれたときに人は人を殺してもかまわないという気持になる。
 登場人物である三上菜摘子さんの言葉だったと思いますが、東京では個人の魅力が評価の対象になる。学力は二の次という言葉が心に残りました。
 最後はチームワークです。読み終えたとき、こういう終わり方をするのか、ふーむと沈黙しました。感慨はありません。よくできている。犬好きの人にはうれしいお話です。
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