コメント・書評 |
人を信じない。
kumataro
Sep 23, 2010 1:15:38 PM
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評価 ( ★マーク )
★★★★
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イソップのお話 河野与一編訳 岩波少年文庫
短文の寓話(ぐうわ、たとえ話)が300ページ続きます。いっきに読むのはつらい。ひとつひとつの教訓めいたお話は、本来もっと長いのでしょう。要点が記されている本と解釈しました。登場するのは、動物、神さま、人間で、動植物については擬人化されています。オオカミ、キツネ、子ヒツジ、ライオン、犬などがよく出てきます。16ページにある肉棒をくわえた犬が橋の上から川面を見ている光景からは、1Q84村上春樹著を思い浮かべました。水面に映った自分を自分とわからず、あいつがくわえた肉を手に入れようとするのです。斜め横方向から見ると、空間内に肉棒がふたつあるわけで、それは1Q84の空に月がふたつある光景と一致するのです。 イソップという人がひとりで作成したというよりも彼の名を借りて大勢の人たちが長年かけて合作してきたものという推測をしました。心に響いた小品は、ライオンがネズミに助けられる話、キツネがライオンに慣れる話、アリは昔人間だった話、金のかたまりを盗まれたけちんぼうの話、おなかと足がけんかをする話、人間は正しいことよりも利益を求める生き物という話でした。内容は、悲観的で、性悪説に立っています。悪人の性質は直らないと断定しています。 教訓として読むか、ストーリーを楽しむかに分かれるのですが、わたしは後者にして、各お話しの最後にある2~3行の教訓部分は読みませんでした。 悪は叩く。悪とは、自分の所有するものを奪う者です。紀元前2600年ぐらいに成立した物語群だと思うのですが、何千年が経過しても人間の性質は変わらないのです。作者であるイソップさんが語る、人間とはそもそも、なんたらかんたらという声が聞こえてきます。生きることのつらさや悲しさを感じる作品群です。そして終わり近くの数編では、華々しい名誉よりも、自分の家で質素に暮らすという結論に達するのです。
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