コメント・書評 |
竜崎署長のしきたりを破る面白さ
ドン・キホーテ
Mar 14, 2010 9:33:50 PM
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評価 ( ★マーク )
★★★★★
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今野敏の新シリーズである「隠蔽捜査」の第2弾である。『果断』というタイトルであるが、副題に「隠蔽捜査2」とある。前回、家族絡みの事件で、警察庁長官官房総務課長から、警視庁の大森警察署長に配置換えになった主人公竜崎。配置換えというよりは明らかに大左遷である。通常、このような異動はない。
ここまでは前回の『隠蔽捜査』での進行であった。警察署長は副署長、警務課長、刑事課長、警備課長などに囲まれて仕事をする。別のテレビドラマで、船越英一郎の演ずる副署長は承認の印鑑押しに多忙だが、本編では竜崎署長が印鑑押しに忙しい。
強盗事件が発生し、緊急配備を行ったが犯人に逃走された。打つべき手を打ったのだが、ミスがあり功を奏さなかった。こういうことが起こると、所轄署は責任を取らされると戦々戦々恐々となる。しかし、竜崎は緊急配備をしても必ず上手くいくとは限らないと割り切る。
こういう場面での竜崎は毅然としている。最初こそ署員は驚いているばかりであったが、次第に署長に一目置くようになる。副署長との関係も面白い。通常は実務の執行者は副署長であるらしいが、竜崎は自分で執行してしまう。
竜崎の友人で警視庁刑事部長の伊丹というキャリア警察官僚がいる。この伊丹との会話で、保身に走る伊丹の姿が浮き彫りになる。そうであっても、竜崎は伊丹を頼りにしている。一方で、各警察署を監督する方面本部の管理官は悪役として描かれている。管理官は警察署を監督する役割を担っているので、所轄署がへまをすれば当然指導に当たる必要が出てくる。
この悪役管理官は署長を何とも思っていないようだ。しかし、階級を考えれば、自分よりはるかに上位にいる警察署長である。もう少し敬意を払って然るべきである。管理官に対する竜崎の態度には読者は溜飲を下げることになるだろ。このように通常は考えられないシーンがよく出てくるが、テレビの警察モノ同様、これをあまり繰り返すとリアリティを失い結果となる。
しかし、本編での竜崎はキャリアの署長、しかも見習いではない署長である。こういう実例はほとんどないであろう。それだけに小説の材料としては、面白い設定である。今後も署長・竜崎の活躍を期待したいし、本編もそれに応える充実したエンターテイメントになっている。
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