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夕暴雨
東京湾臨海署安積班
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コメント・書評 |
収穫の多いエンターテイメント警察小説
ドン・キホーテ
Mar 7, 2010 9:35:43 PM
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評価 ( ★マーク )
★★★★
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今野敏には警察を描く作品が多いが、本編はテレビ化されているので、馴染みのあるキャラクターである。テレビの方は神南署であるが、こちらは東京湾臨港署である。主人公はもちろん、安積警部補である。
私はテレビも見ていないし、この安積班のシリーズは初めてだった。警視庁樋口警部のシリーズ、警察庁竜崎警視長のシリーズも各々魅力のあるキャラクターの描き方であった。今野は多作家らしく、これ以外にも警察とは関係のある、あるいはないジャンルにおいて、多数の作品が出版されている。したがって、私が好んで読んでいる樋口警部のシリーズはこのところ新作にはお目にかかっていないのが残念である。
初めて読んだ班長安積警部補のシリーズだが、臨海署らしく大規模展示場に大勢の人が集まるところから、この『夕暴雨』は爆破予告事件をテーマに取り上げている。神南署の時代はどのようなメンバーが班にいたかは知らないのだが、部下との関係、上司との関係など、人間関係が中心にした展開である。
臨海署は新たに新庁舎も完成し、組織的にも強化されてきた。そこで安積のライバルが登場するし、癖のある部下、課長との関係、署の他課の同僚との関係など、時々刻々の状況と安積の心情を描いて見せている。この辺りは極めてリアルである。せっかく、リラックスするために本書を読み始めたのだが、何だか読むにつれて職場に戻されたような気がしてきた。
こうなると選択は、読むのを途中でやめるか、あるいは書かれている安積の考え方、対処の仕方を日々の勤務の参考にするしかない。後者を選ぶことにした。管理職の勤め人であれば、誰もが経験する雑事と人間関係のケースが多様に描かれており、感心してしまった。
映画やテレビではこのように精密に描くことは時間が許さないであろう。その点、書籍はかなり濃密に表現することが可能である。もちろん、事件の展開も凡庸ではない。それについては読んでみて味わえるところが大である。
実際の刑事の職場がどのようであるかは分からないが、ここで描かれている日々起こることが本当であれば、刑事は使命感に燃えている人でなければ務まらない。通常のサラリーマンの勤務時間とは縁遠い。体力と気力が充実してこそ初めて良い仕事ができる職業であろう。色々な面で収穫の多い警察小説であった。収穫の中にはもちろんエンターテイメントとしての収穫も含まれている。
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