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転移
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中島 梓著
税込価格:
¥1,890
(本体 : ¥1,800)
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出版 : 朝日新聞出版
サイズ : 19cm / 282,11p
ISBN : 978-4-02-250666-5
発行年月 : 2009.11
利用対象 : 一般
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コメント・書評 |
中島梓/栗本薫の最期を知りたくて
みなとかずあき
Feb 20, 2010 6:59:53 PM
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評価 ( ★マーク )
★★★★★
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2009年にショックだったことの1つが栗本薫/中島梓の死だった。 ネットのニュースで彼女の死を知った時にはしばらく茫然というか、いわゆる何も手に付かない状態だった。何がどうというわけでなく、ただただショックだったのを今でも覚えている。 もちろん彼女がガンだったというのは知っていたし、『ガン病棟のピーターラビット』の最後で転移について触れられていたので、いずれはこういうことはあるとは思っていたが、それにしてもこんなに早かったとはとしか言いようがない。 ネットのニュースでは中島が亡くなったことと彼女の業績について触れられていたが、彼女の最期がどんなだったかについてはあまり触れられていなかった。でも、ファンとしてはそこを知りたかった。 そう思っていたところ出版されたのがこの本だった。 もっともこの本の「プロローグ」は2008年4月28日付で、当初はエッセイ風のものを意図していたようだ。ところがこの「プロローグ」の後ろに「著者註」として、 「ここまでは「転移」というタイトルで、肝臓への転移が判明した4月から、「ガン病棟のピーターラビット」と同じようなスタイルで書き始めてみたものですが、長い時間かけて書いてゆくにはこのような書き方よりも日記スタイルのほうがふさわしいと思い、10月に、9月の分を起こしてそこから「転移日記」というスタイルにあらためて、そののちいまにいたるまで書きついでいるものです。予定としては、私が文章を打てる限りは現状報告と遺書をかねて書いてゆくつもりです」 と2009年2月12日付で書かれており、日記の体裁として書かれるようになった。 日記としては充実したものとは言い難い。もちろんガンを患う身であり、その治療としての化学療法の副作用でかなり体調は悪かったようで、日々の記述は体の痛みの軽重やその対策であったり、どんなものが食べられて何が食べられなかったかということが繰り返し綴られている。それでもその合間に次の小説の進行の程度やライブを行ったことが綴られているのが中島らしいと言えばらしいのかもしれない。 日記という体裁にしたせいだからか、上記のような記述の間に時に中島らしさをうかがわせる記述もあった。 「もう、次の「あらたな年」があるかどうか、それはわからないが、それももう何も考えない」(2008年12月28日) 「ときどき、音をたてて「生きる意欲」が萎えてゆくのがわかる気がすることがある」(2009年1月15日) 「奇妙なことに、私はひどい運命が目の前にやってきたときのほうが闘志がわいて勇気が出てくる」(2009年3月13日) 「そう、世の中は「淡交」でいいのだ。濃く深い交わりをする相手、などというものはこの世にほんの数人いればいい」(2009年4月9日) このような生き方をしてきた人が作り上げたものだから、私はずっと広範囲かつ多量にわたる作品を読み続けてきたのだと思うし、それを改めて確認すればするほどまた悲しくなる。 そしてこの本の巻末に、ノートに書かれた5月15日、16日の日記の写真と、5月17日にパソコンで書こうとしたであろう最期の日記がリターン・キーの記号がいくつも並んでいるのを見ると、悲しみは一層深くなる。
巻末に栗本薫/中島梓 全仕事リストが収められているが、その種類、数を見ると彼女がいかに多彩な作家であったかがわかるが、その最期にこの本が並ぶのかと思うと、これもまた悲しくなってくる。
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