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いとしのヒナゴン  上  文春文庫

いとしのヒナゴン(文藝春秋) 重松 清著
税込価格: ¥550 (本体 : ¥524)
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出版 : 文藝春秋
サイズ : 16cm / 326p
ISBN : 978-4-16-766905-8
発行年月 : 2007.9
利用対象 : 一般

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コメント・書評

完全否定をしない人間になろう。
kumataro
Feb 19, 2010 8:55:12 PM
評価 ( マーク )
★★★★

いとしのヒナゴン 重松清 文春文庫

 最初に、昔新聞をにぎわせた「ツチノコ」騒動を思い出し、それがヒントになっていると勘違いしました。最後にある作者のあとがきでは「ヒバゴン」となっています。そういう怪物もいました。
 お役所ものの物語です。同時期に「無理」奥田英朗著を読んでいました。こちらもまたお役所ものです。両方に市長・町長、議員さん、職員さんが登場するので、両方の登場人物たちが頭の中で混在してしまい混乱しました。つらくなってきて、どちらでもいいから早く読み終えたいと気がせきました。どちらも長編です。ヒナゴンのほうは、ポイントを絞ってもっと短くてもよかった。市町村の合併話がからんでいます。
 主人公は女性で、のぶちゃんこと石井信子さん25歳、東京から広島県へ帰郷します。町長が五十嵐一郎さん、彼は元暴走族40歳で、ふたりの幼ななじみたちが周囲を固めます。
 ヒバゴンは実在するのかしないのか。わたしが小学校4年生のときの国語の授業を思い出しました。木馬のお話でした。木馬がしゃべるのです。同じ物語を何時間もかけて学習しました。最後に女性の先生が、木馬がしゃべったと思う人? と質問を投げかけました。だあれも手をあげませんでした。先生は、たいそう怒って、そして、たいへん悲しみました。なんのために何時間も授業をしたのかと嘆かれました。先生は言いました。木馬はしゃべったのです。
 完全否定をしない人間になろう。それがこの物語のメッセージです。人間と機械の違いです。人間は完全否定をしなくても生きていけるのです。
 信子さんが、ひいおじいちゃんである亡石井健作さんを信じる気持ちは熱い。教育委員会職員西野さんの比奈町を思う気持ちも熱い。そしてなにより五十嵐一郎町長のふるさとに尽くす情熱は燃えている。日本は広いけれど、自分が住めるところは少ない。読者を泣かせる文章です。文章が歌っている。こんな町があったらいい。でも、ないと思う。
 比奈町自体がヒナゴンになっています。先日、愛知万博の記念公園に行ってきました。終了後5年近くが経ちます。どこに何が建っていたのかさえわかりません。工事中の区域が広がっています。モリゾーとキッコロの像がありました。どういうわけか、ふたりの色が薄い。そうです。ふたりは森に帰っていったのです。そして、ヒナゴンも森に帰っていったのです。
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