コメント・書評 |
心理学者キンロス博士の名推理
ドン・キホーテ
Jan 31, 2010 9:35:11 PM
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評価 ( ★マーク )
★★★★
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密室もので有名なカーの推理小説である。本作品は1942年に書かれたものである。舞台はフランスの別荘地であるが、主人公の若くて美しい女性は英国人であるし、博識で、頭脳明晰な探偵役も英国人である。地元警察の署長、検事、その他はフランス人であるが、主人公に絡む隣人一家はやはり英国人という設定である。
日本語訳はやや古風な日本語である。現代の日本語にしては簡素で、飾り気がない点に気付かされる。本書はもともと『世界推理名作全集』として1960年から翌年にかけて出版されたものを文庫化したもののようで、おそらく翻訳はその時代であろう。時代を反映した翻訳、あるいは日本語といえよう。
推理小説の翻訳は大変難しい作業であろうと思う。内容だけでなく、時代考証も行う必要があるからだ。本書もフランスの別荘地が舞台となっている。地元警察署長を助けるのが、上記のとおり英国人の紳士であるが、この人物はとくに探偵とも記されていない。心理学者として登場して名推理を披露する。
カーの小説は私は2度目であるが、今回は分かりやすい推理小説であった。前回読んだ『火刑法廷』があまり印象が良くなかったのと、構成が複雑で読みにくかった点で躊躇したのだが、それらの懸念を排するに十分なものであった。カーを愛好する人にとっては、そのトリックや推理の組み立てが応えられないのであろうが、一般的であるかどうかという点については、人それぞれである。加えて、これが読まれるのが、現代という時代を背景にした場合には、万人向けとは言えない。
そういう点ではコナン・ドイルだって、モーリス・ルブランだって同じことである。その点で映像化されたものは推理などの枠組みを味わうことができよう。しかし、小説を読むとなると、様々な障害があることはやむを得ない。
密室のトリックで有名なカーであるが、今回も密室ではなかったが、殺人犯人の犯行は手の込んだ見事なものであった。女性の主人公も魅力的に描かれ、現代の推理エンターテイメントとして十分に楽しめるものであった。
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