コメント・書評 |
なによりも友情
kumataro
Jan 30, 2010 5:20:26 PM
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評価 ( ★マーク )
★★★★★
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美しき日本の面影 さだまさし 新潮文庫
以前同著者の「解夏(げげ)」を読んだとき、著者の日本地理知識に驚嘆しました。この本では、全国ツアーのコンサートの合間にその土地を巡ったと記述があります。 随筆になりますが、著者の身近なファン、友人、知人に向けて書かれた文章です。落語を聴いているようでもあります。キーワードは「妖精」で、妖精は日本の美しい自然の中に生息しているのです。 長崎へのこだわりがあります。「怒りのヒロシマ、祈りのナガサキ」というフレーズは初めて聞きました。著者はわがままで頑固者です。とはいえ、読んでよかった1冊になりました。文章の向こう側からミュージックが響いてきます。 著者はとにかく昔のことをよく記憶しています。修学旅行の記述はこと細かく、感心しました。思い出が小説化されています。映画製作の借金話(35億円)は、一歩間違えば、ホームレスです。裸の自分について語り、周囲の人々に感謝のメッセージをおくっています。しかし、よくそんな大金を貸してくれたものだ。183ページ付近にあるお酒の銘柄のお話はすばらしい。著者の仕事は、人に勇気を与える音楽をつくり、人に生きる気力をもたせることです。 寝台列車「さくら」のお話は、同世代の都会に出た九州人であれば、体験者が多いことでしょう。今は博多まで届いている新幹線も、その昔は、大阪まででした。その後、岡山まで延び、博多まで届いたのはわたしが中学生の頃でした。わたしも「さくら」「瑞穂(みずほ)」、そして「金星」に乗車したことが何度かあります。 都会から実家に帰りたくて、夜の駅に行くという体験記があります。(著者は東京駅からそのまま電車に乗ってしまい長崎駅までお金もなく行ってしまいます。)入場券だけを買って、プラットホームまで行き、ああこの電車に乗ればふるさとに帰ることができると、そういう体験をした人は著者やわたしだけではないでしょう。 今はどうかわかりませんが、昔の九州人は、「金じゃない」という気質がありました。安定や安心を求めない。熱しやすい性格でした。タイトルでは「日本の面影」と表現されていますが、「日本」ではなく「昭和」のほうがぴったりします。 著者の奈良や京都に対する愛着はわたしも共感します。著者は鉄道好きであり車好きです。この本から日本はきれいだなあということが伝わってきます。書中にもあるように、旅を続けていると心の許容範囲が広くなります。そして、著者の自分の想いを文章化するエネルギーはすさまじい。
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