コメント・書評 |
清明、博雅の名コンビによる平安時代の神秘な世界の謎解き
ドン・キホーテ
Jan 17, 2010 9:28:26 PM
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評価 ( ★マーク )
★★★★
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久しぶりに夢枕獏の陰陽師を読んだ。この文庫本シリーズは飽きが来ないようにという配慮なのか、集中して出版しない。忘れた頃に次が発刊される。確かに飽きが来ることはないのだが、忘れ去られてしまわないのだろうか? もう少し間隔を詰めた方が良いような気がする。
今回は9編の短編が集められ、「夜光杯ノ巻」と題して出版された。いずれのエピソードも、清明邸の庭を眺めながら、安倍清明と源博雅の二人が風流にも、庭の草花を愛でながら酒を酌み交わすところから始まる。
そして、事件が起きた現場に行こう行こうということになり、二人が揃って馳せ参じるわけである。清明が博雅から話を聞いた段階で、清明の方ではもうあらかた原因と結果が分かってしまっているようだ。現場へ行くのはその確認に過ぎない。現場に行くまでは、清明は博雅に自分の推理を話しはしない。それを博雅は気に入らず、「勿体ぶる」のは清明の悪い癖だと断じて責めるのである。
この辺りまではどの話にも共通している。それ以外では、今回のエピソードは比較的穏やかで、百鬼夜行という雰囲気はなく、鬼が人をバリバリ喰ってしまうようなグロテスクな場面は出てこない。したがって、それを期待していた読者には、物足りないかも知れない。
本書においては、京にある雲居寺の高僧、浄蔵師が二度登場する。三善清行の子息で徳の高い僧侶である。清明も博雅も歴史上の人物だが、歴史上著名な人物をしばしば登場させるのは、歴史愛好家にとっても興味深い。
浄蔵師については、前編はともかく、後編は高齢の高僧とは思えない恋愛の悲話である。このシリーズのエピソードは、百鬼夜行もあるが、男女の恋愛が成就せず、まだ諦めきれない相手に対する想いが落ち着き場所を求めてさまよっているというものも少なくない。
龍神祭では、蝉丸が登場し、蝉丸とともに三人で神泉苑を経由して天竺まで旅をするという面白い趣向もある。久しぶりに読んだが、相変わらずの娯楽傑作であった。うっかり気付かず、読まなかった長編の文庫版もあるようなので、早速、平安時代の闇の世界を堪能しよう。
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