コメント・書評 |
旅館というものを解剖した旅館考現学の書
ドン・キホーテ
Jan 11, 2010 9:34:16 PM
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評価 ( ★マーク )
★★★★★
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歳を取ってくると和風好みに変わって行くのか、宿舎もホテルよりは和風旅館の方が寛げるようになった。年齢にかかわらず、旅館でもホテルでもどちらでも良いという人もいるであろう。
本書は日本旅館の良さはこういうところにあるという著者の考え方を記したものである。好みなので必ずしも多くの読者がこれに納得するとは思えない。しかし、先ずは宿泊してみて、自分にあった旅の楽しみ方ができればどちらでも良いと思う。
著者の柏井は京都で歯科医院を開業する一方で、旅館についての著書も多数あるというマルチ人間である。
以前読んだ新書の中に『旅館再生』というものがあった。どちらも近年の和風旅館のあり方を述べたものである。本書の趣旨は、旅館というもの全体を概観したもので、現代旅館のスタイルブックのような趣であろうか。本書が著わされてからすでに6年を経ているので、ここ数年のスタイルや流行は載せられていない。
内容としては、旅館の最近の傾向を紹介している。著者の好みがかなり入っている。しかし、文章が平易で分かりやすい。加えて実例が自らの体験に基づいたものが多いので、より身近に感じることができる。
旅館の流行やスタイルは、当然のことながら世相を反映している。団体旅行が盛んに行われた頃は、大型の旅館が増えて、客捌きも団体向けにできていた。ところが、近年、団体客、とくに職場の旅行などはすっかり影をひそめてしまい、めっきり減ってしまう。すると、小規模の小ぢんまりした旅館が増えてきた。
これらの旅館は、部屋数にして精々20室以下で、サービス、つまり料理、部屋、接客いずれをとっても個人客の好みを反映させる努力が見られる。ただし、最近増えてきた女性客に好みの浴衣を選ばせるサービスは余計だと柏井は言う。どうせ浴衣に着目するのであれば、寝間着用にもう一着用意した方が客にとってはサービスになるという。これなども納得させられるアイデアである。和風旅館を愉しむための20のヒントのうちの一つである。
あとは京都、温泉街、至福の日本旅館とタイトルを替えて、実例の紹介である。どれもぜひ一度は行ってみたくなる旅館ばかりである。ただし、料金もとびきり高い所が多い。料金が高ければ品質が良いのは当然である。しかし、その旅館によって何かしらの工夫、特徴がある。柏井の紹介はそれを狙っているので、単に手ごろな料金で良質の品質を提供する旅館を紹介しているのではないのだ。
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