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加藤和彦ラスト・メッセージ
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コメント・書評 |
2009年の重大事を改めて知らしめてくれた1冊
みなとかずあき
Jan 1, 2010 12:45:48 AM
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評価 ( ★マーク )
★★★★★
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2009年でショックだったことの1つが、加藤和彦の死だ。何がショックかと訊かれてもうまく言えないのだけれど、ともかくショックだったのだ。それは未だに彼についての報道やコメントやその他もろもろを見聞きするにつけ、心が揺さぶられてしまうことだ。何か居てもたってもいられず、慌ててCDを何枚か買ってしまい、何度も聴き直していた。 そんな矢先に出版されたと知ったのが、この本だった。まあタイミング良くこんな本を出す人や出版社があるものだと思ったのだけれど、インタビュアーで構成をした松木直也によるとこの本のアイディアというか発案者は加藤和彦自身で、すでに2年前に作られ始めていたというのだから、すべては加藤和彦の計画通りだったのかもしれない。 一応時間軸に沿って加藤和彦の生涯を追う形になっているが、話の中心はやはりフォーク・クルセダーズのことであり、サディスティック・ミカ・バンドのことになる。読む側の関心事もそのあたりが中心なのだろうが。 それぞれ2時間程度の時間をかけた話をまとめているようだけれど、正直もう少し突っ込んで聞いてくれても良かったかと思うくらいに、分量としては少ないように思える。もちろんその中身は当事者でしか知らないことであり、読みごたえはあるのだけれど。 アマチュアのフォークル結成から解散のいきさつ、その後プロとして再結成されたいきさつがさらっと語られているのだけれど、プロとしての活動期間の面白そうな話がもっとあるのではないかと勘ぐってしまう。 同じようなことはミカ・バンドの話でも言える。イギリスへ単身でわたり、ミカ・バンド結成へと至る話は面白いのだけれど、イギリス・ツアー中の話をもう少し聞き出せなかったものかとも思う。 そんな中でも意外だったのは、加藤和彦が音楽が好きで好きでプロの道へと進んでいったわけでなく、むしろデザインやファッション、料理や車といったものに関心の多くが向けられていたこと、音楽でもよく言われているようなビートルズの影響と言うよりはアメリカン・フォークなどの影響が最初は強かったことなどだろうか。 加藤和彦の生涯をたどると、いくつかの節目があると思う。フォークル、ミカ・バンドはもちろんだけれど、その後の安井かずみとの公私にわたる共同作業や、さらにその後の様々なコラボレートがあると言えるだろう。 この本ではフォークルとミカ・バンドに中心が置かれてしまい、その後の様々な活動がかなり省かれてしまっている。彼が死んでしまったから尚更思うのかもしれないが、晩年のさまざまなコラボレートを見直すことが彼がなぜ自死を選んだかということに少しでも近づいていくことになるのではないかと思えてならない。 それは、この本にも収められている彼の公開された遺書や、この本そのものを読むにつけてなお一層そう思われてならないのだが、もう彼の言葉をこれ以上知ることはできないのだろうか。
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