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真夜中のユニコーン
伊集院大介の休日
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コメント・書評 |
これを伊集院大介シリーズとは言ってほしくないけれど、別の意味で面白い話でした
みなとかずあき
Dec 31, 2009 8:44:33 PM
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評価 ( ★マーク )
★★★
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副題に「伊集院大介の休日」とあり、刊行時の帯にも「書下ろしシリーズ最新作」とあるように、どうみてもあの伊集院大介シリーズの1冊と位置付けられてはいるのですが、いったいどこに伊集院大介が出てくるのか。 すごくうがった見方をすれば、「伊集院大介の休日」なので、「この話では伊集院大介はお休みです」と宣言しているのかもしれないなんてことまで思ってしまいます。 それだけ彼は出てきません。 かろうじて助手の滝沢稔/アトムくんが出てきますが、それとてもすでに皆知っているからなのか、文章中にはどこにも「伊集院大介の助手の」といった但し書きは出てきません。 しかも舞台はほとんどつぶれかかっていると言ってもいいテーマパーク。そんなところに大量のアルバイトがいると言うのも不思議な話ですがともかく、そこにアルバイトとして入ってきた聡子と男子アルバイトとのやりとりが延々と続く、まるで青春小説です。 一応失踪事件(?)も殺人事件も起きます。 でも事件は事件。聡子の目から見た男子アルバイトたちの動向が物語の重要な要素のようにしか読めませんでした。 ついに伊集院大介シリーズ、というか栗本薫も血迷ったかと思ってしまうのは私だけではないでしょう。 ともかくそんな1冊です。
でも、206ページへ来て、栗本薫が本当のところ何が書きたかったのか、少しわかったような気がしました。聡子が重要な登場人物・諒がカラオケで「俺のテーマソング」といって歌った歌を思い出すシーンです。そこに出てくる歌は、
真夜中の遊園地に君と ふたりでそっと忍び込んでいった
色あせた水玉のベンチはうつりゆく時のにおいしみついてた
きっと生まれ変わる いまなら メリーゴーラウンド もう一度だけ 動き出せ メリーゴーラウンド 目をさませ ユニコーン!
これって、知る人ぞ知る、山下達郎の「メリー・ゴー・ラウンド」ではありませんか。 しかもこの歌が物語のクライマックスで、真夜中に急にメリーゴーラウンドが動き出して聡子の窮地を救うという場面でも出てくるのです。 栗本薫は以前から洋楽や日本のロックの曲をモチーフにしたり、ずばりタイトルにしたりした物語をいくつか書いています。 と言うことは、この『真夜中のユニコーン』は実は山下達郎の「メリー・ゴー・ラウンド」をモチーフにした物語だったのではないでしょうか。 そうやって読み続けてみると、特にこのクライマックス・シーンなどその場面の映像を思い浮かべ、そこに山下達郎の歌がかぶさってくるのを想像すると、すごく出来たシーンになるではありませんか。 あくまで伊集院大介シリーズの装いをして、どこにも山下達郎や「メリー・ゴー・ラウンド」には触れられていませんが、私にはもうこの曲のために栗本薫が書いた物語だとしか思えなくなってしまったのです。 そうだとすれば、伊集院大介のとってつけたような推理もまあ許せるかとも思えてしまいます。
それにしても、この本のどこにもジャスラックの許可を得たとは書いてないけれど、いいのかなあ。 |
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