コメント・書評 |
横山の意外性の発想に感嘆する
ドン・キホーテ
Dec 13, 2009 9:39:31 PM
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評価 ( ★マーク )
★★★★
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横山秀夫の短編集である。六編が収められている。主人公や背景はいずれも異なるが、推理小説には違いがない。警察署、フリーライター、裁判所、新聞社、県庁など、舞台の多様性が今までの短編集に比べると、この短編集の特徴かもしれない。
それはともかく、いずれも巧妙な筋立てで大変面白く読むことができた。タイトルになっている『看守眼』は、警察署の留置場の看守が主人公である。刑事になれなかった看守が定年退職を迎える。その看守はどうしたかが、物語のモチーフである。
新聞社は横山秀夫のかつての職場であった。ヒット作である『クライマーズ・ハイ』も舞台は地方紙の新聞社であった。さすがに迫力がある。新聞社も警察と同様、あまりその中身は知られることがなかった。ローカル紙ならではの業務でミスを犯す。その後始末でケリが付くと思ったら、とんでもないおまけがついてきた「静かな家」。
裁判所が舞台になっているのが「口癖」である。裁判所の調停委員が主人公であるが、この職業も社会の動きに敏感に反応しなければ務まらない仕事であろう。本編を読んでそれがよく理解できる。
「秘書課の男」は県庁の秘書課長を務める主人公が、秘書という業務で仕える主人との関係を端的に表現した物語である。秘書は仕える上司との関係が、他の職場の上司、部下の関係とは異なるようだ。それは上司の秘密を知る立場にあり、その秘密は守らなければならないからであろう。それだけ特別な立場であるのが秘書である。その複雑な感情の動きをとらえて描きだす。
某県警情報管理課での出来事を題材にした「午前五時の侵入者」は、県警のホームページが書き換えられたことに端を発する。これなどは実に現代的な出来事である。横山の作家としての時代性を評価したい。
いずれも発端となった事件はまだしも、その後に続くおまけはやや偶然が働きすぎる嫌いがある。そうそう事件は起こるものではないと思うのだが、小説の中では万に一つも起こらないはずの事件が勃発して、関係者が右往左往する。もっとも、それがなければ単なる日常性を述べているだけで終わってしまう。実際横山に期待するものはそこにあるのであろう。本書でも意外性を十分楽しむことができたのである。
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