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ピュア☆ピュア  Vol.55  タツミムック

ピュア☆ピュア(辰巳出版) 税込価格: ¥1,785 (本体 : ¥1,700)
出版 : 辰巳出版
サイズ : /
ISBN : 978-4-7778-0704-8
発行年月 : 2009.10

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コメント・書評

ひとりぼっちの卒業式。憤怒も哀惜も虚脱感も全て織り込んで、ただ一言「ありがとう」。
光森長閑
Nov 23, 2009 10:17:56 PM
評価 ( マーク )


 これまで通巻54号を重ねてきた本誌ですが、年が明ければ創刊10年を迎えようという歴史の中で発売日の遅れは記憶にありません。それだけに、10月上旬に発売されていなければならない本誌が一向に手元に届かないことに嫌な胸騒ぎを感じてはいましたが、結果それが的中する形で10月末に第55号が発行される運びになりました。
 手に取るやいなや、まるでお通夜のような心境になりました。これまで54号、時に苦言を呈しながらも私の美少女タレントシーンを見つめる上での大きな支柱であった本誌が完全にその魂を失い、違う世界へと逝ったのを見た瞬間でした。才気溢れる美少女たちが誌面狭しと弾けていた往時の面影は微塵もなく、入れ物だけが「ピュア☆ピュア」なのであって、そこにあるのはただのロリコン読者とオタク読者の欲心を満たすだけのロリコン誌でした。
 「再出発期にある本誌だけに、変革の意味を取り違え、ここぞとばかりに誌面の変質を招かないよう」と前号の書評で書いた願いは全く虚しく消え去りました。思えば今春の季刊移行以降、その心意気こそ評価してきましたが、内容全般については評価とまでは至っていません。この時点で既に「変革の意味」はぐらついていたのでしょう。誌面を徐々に蝕んだ「大人の事情」は、遂にその魂まで食い尽くしたということです。
 誌面に連なるのはAKB48勢と水着要員ばかり。しかも一般のグラビア誌ならまだ「大人の色気」という言い訳もできますが、15歳以下限定の縛りは残っていますから完全なるロリコン誌です。
 しかも、それなりに知名度のある水着要員ならまだしも、悪名高い心交社系の書籍にも名前を連ねる真正ロリコンタレントまで含まれています。ロリコン読者に媚びるといっても節度があります。毒を食らわば皿までとはいいますが、本当に落ちるところまで落ちたものです。
 誌面に加え、大きく変化したのが付録DVDです。他誌なら驚きもしませんが、本誌はかつて読者アンケートで問い、第45号で明確に付録DVDを否定した経緯があります。猫も杓子も付録DVDのご時世、ひたすら付けないことにこだわってきたのは誌面だけで勝負しようという本誌の矜持の表れだったように感じ、高く評価してきましたが、これもあっさり捨て去ったということです。
 それに、読者ページ、さらには編集後記もなくなっています。グラビアに占めるウェートからすれば小さく、読み飛ばしても差し障りない程度だったかもしれませんが、私は当書評でも常々この両欄にこだわってきました。本誌の考え方が明確に表れていたのと同時に、読者の声に耳を傾けようとする姿勢が窺われたからです。もはや本誌の志を示したり、広範な読者の声を汲み取る意図はないと受け止められても仕方ありません。もっとも、同じ方向を向いている層のみに読者を限定したのですから、もはやその必要すらないということなのかもしれません。
 また、これは偶然かもしれませんが、これまで本誌を定期購読してきた私の元に、今回で定期購読サービスを終了するとの文書が同封されてきました。このタイミングですから、まさに絶縁状を突きつけられた格好です。
 よく表紙を見れば、50号到達の際改めたばかりの題字をわずか5号で変更しています。これも看板の架け替えということでしょう。
 これまでの歴史を誇りに思うなら、本誌内部に強い反対意見があったものと信じます。その良心を突き飛ばすほど、本誌、さらには美少女タレントを取り巻く出版情勢が厳しくなっていることは認めざるをえません。
 ここ最近に限っても、月刊誌「kindai」の休刊、私個人前回書評で書いた「Girls!」との決別と、拝読する冊子がばたばたと倒れています。
 ロリコン・オタク読者にずぶずぶに阿ることでしか生き長らえる方法がなかったのは、悔しいですが事実なのでしょう。私の立場からすれば真実の少女美を伝えることに勝る強さはないと申し上げますが、当面の収支を考えれば、理想の誌面の実現まで体力が持続しないと言われれば反論の術はありません。
 書籍という直接収益性の強いジャンルでは、それにマッチしたロリコン・オタク支持層の声が色濃く反映され、実際の実力差以上の結果が出てしまうのは避けられません。活躍中の若手女優の方々の多くは20代前半に集中しており、世代的なバランスからこの世代の手配りが手薄になってしまう面もあります。
 もはや私のような一読者の声など限りなくゼロに等しいのかもしれません。それでもまだ真っ当な需要に応える書籍はゼロではありません。私にできることといえば、当書評などを通じ美少女タレントの真の魅力を伝えることくらいしかありませんが、ひたすらに歪みのない応援手法を貫くつもりです。
 瞼の母よろしく、目を閉じれば往時の美少女たちの輝きが浮かびます。2000年の春、当時の大エース・鈴木杏さんが表紙を飾った創刊号が店頭に並んだとき、血湧き肉躍る思いでした。初期の黄金時代、前田亜季さん、末永遥さん、長澤まさみさん、黒川芽以さんたち最強メンバーが毎号誌面を彩り、ずば抜けた安定感に唸らされました。次第に既に活躍中の人だけでなく、本誌生え抜きと呼べる人たちが育つようになり、人材を求めた「おはスタ」や「天てれ」など子供向け番組出演者から近野成美ちゃん、中村有沙ちゃん、篠原愛実ちゃん、橋本甜歌ちゃんたちが成長しました。生え抜きばかりでなく知名度に長けた人たちを招き入れるバランスも妙味で、夏帆ちゃん、成海璃子ちゃん、志田未来ちゃん、福田麻由子ちゃんたち次代を担う実力者も続々誌面に登場しました。
 数年前から若手女優たちが活躍の度合いを増すと、宮崎あおいさんや長澤まさみさん、榮倉奈々さん、夏帆ちゃんといった本誌OGがその枢要を占め、本誌の審美眼の確かさを知らしめることとなりました。
 名場面も蘇ります。第22号での榮倉奈々さんの弓道衣姿は、本誌全てを通じての最高傑作だと思っています。パワーではてんかりんこと橋本甜歌ちゃんにグラビア・連載共々圧倒されました。ほんわかした魅力では赤谷奈緒子ちゃんや伊藤夏帆ちゃんでしょう。最近では第52号での一木有海ちゃんの白い振袖姿の艶やかさが格別でした。
 こうした輝かしい記憶は枚挙に暇がありません。しかし、反面本誌言うところの「大人の事情」との闘いの連続であったことも事実でした。本誌の看板であったにもかかわらず、何の説明もなく忽然と姿を消すレギュラー陣もしばしばでした。初期の無自覚によるであろう、その後は経営的事情によるのであろう水着掲載も、誌面の品位を落としました。そうした陋習と決別し純化を求める私のような読者と、ロリコン・オタク読者とのせめぎ合いも苦労が絶えなかったことでしょう。
 私にとって、本誌は単に美化された思い出だけではなく、憤怒も理不尽さも千々に織り込まれた、まさに学校そのものでした。今回の書評は、廃校となる母校へ送辞を書くような心境です。後足で砂をかけられるような別離なのですから、とても「ありがとう」ではありませんが、それでも諸事振り返れば「ありがとう」の一語に収斂されます。
 ありがとう、ピュア☆ピュア。そして、さようなら。
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