コメント・書評 |
宝塚歌劇の楽しみ方 貴方を宝塚の虜に!
ドン・キホーテ
Nov 22, 2009 9:35:39 PM
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評価 ( ★マーク )
★★★★★
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宝塚歌劇団の歴史は長い。阪急電鉄の創始者である小林一三が宝塚歌劇の生みの親である。企業家として傑出した存在であった小林一三であるが、もともと芝居などの趣味をたしなむ人であった。
宝塚歌劇は長らく阪急グループの中では利益を度外視した部門であったと思う。近年はそういうわけにもいかなくなったのか、公演の入場料もようやく世間並みに高くなってきた。私はしばらく宝塚に通うファンの一人であったが、チケットが取れないので遂に止めてしまった。チケット発売の当日には電話にかじりついて、朝から晩まで電話をかけまくる。これに耐えられなくなってきたのである。
さて、中本さんは宝塚歌劇に関する本を何冊も出す大ファンである。本書では中本さんがこれからファンになる人、あるいはまったく見たことのない人に、どのような着眼点で見ればよいかを指南する。魅力を他の人に教えたいというのもファン心理の為せる業か。
しばらくファンであった私には内容としては特別に新しい情報はなかった。しかし、これからのファンにとっては大いに参考になることが書かれている。劇場に入るとまずオケピットにいる生の楽団演奏の音の大きさに度肝を抜かれる。そして、周りを見回すと、その9割以上が女性である。男性である私はやや恥ずかしさを感じたものだ。
通常の公演は芝居とショーの2本立てである。芝居の台本も多様性に富んでいる。『ベルサイユのばら』、『風と共に去りぬ』、『偉大なるギャツビー』などから和風の光源氏や藤原氏の栄華まで実に幅広い。
宝塚歌劇の魅力に取りつかれると、さまざまなメディアに情報を求めるようになる。すると、あっという間にわけ知りのファンとなり、劇場に押し掛けるのである。本新書は阪急が提供する宝塚歌劇という世界でも特異な場と、そのファン心理による行動を紹介している。
中本さんは宝塚歌劇の面白さの一つとして、演じる側の特異性を指摘している。その組織や競争、システムである。全員が宝塚音楽学校の予科、本科の2年を経なければ入団できない。そこからまた一人、二人と様々な事情で退団していく。その厳しさを勝ち抜いた人だけがトップスターとなる。ファンはその事情をよく知っているのである。そして、特定の生徒を応援して、良い役を演じて欲しいと願っている。
これも宝塚ファンでなければ味わえない、楽しみ方だと紹介している。そういえば、私も日比谷の近辺のレストランで女性10人くらいが集まって会食をしている風景を見たことがあった。その中心になっているのが若い女性である。そして、その女性は皆に挨拶をしているようだった。これが若手生徒のファンクラブの集まりだったようだ。若いだけに既成のファンは当然少ない。こういう集まりからファンクラブが芽生え、いずれこの女性はスターに育っていくのかもしれない。
本書はこれから宝塚を見てみようかという人のために書かれたもので、本書を読めば是非劇場に行って見てみようと誘いこまれるであろう。それだけ漏れのない記載である。ただし、宝塚の魅力を自ら探すことが楽しみの一つであるとすれば、本書によってそれが奪われてしまう恐れはある。
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