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黒と赤の潮流  ハヤカワ・ミステリワールド

黒と赤の潮流(早川書房) 福田 和代著
税込価格: ¥1,680 (本体 : ¥1,600)
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出版 : 早川書房
サイズ : 20cm / 394p
ISBN : 978-4-15-209005-8
発行年月 : 2009.2
利用対象 : 一般

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内容説明

超高校級スプリンターだった祐一は、事故で引退を余儀なくされた。だがボート仲間の死を知った彼は、その背後の蛇頭と大物財界人に迫り、船で大海原に走り出して行く…。骨太で熱い青春海洋冒険サスペンス。

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コメント・書評

女らしからぬ骨太なミステリ。ただし、どこかで読んだような印象がついて回るのが残念。むろん、東南アジアの人がカギを握るという点では現代らしいんですよ、でもどこか昔の映画を見るような・・・
みーちゃん
Jul 22, 2009 7:34:55 PM
評価 ( マーク )
★★★★

福田和代、初めて読む作家です。著者名の平凡さから、もしこの本がハヤカワ・ミステリワールドの一冊でなかったら多分手にしていなかったと思います。げに、早川の名の重さかな、です。でも『赤と黒の潮流』というのも野暮ですねえ、なんだか松本清張の時代に戻ったみたい。でも、デザインは基調となる色がいいので及第点。ちなみに、写真は海沼武史、装幀はハヤカワ・デザインです。

早川本は、カバーの案内が結構詳しいので、今回もカバー後の案内を拝借。

阪神大震災で祐一は両親を亡くした。
何かを亡くすのは初めてではない。超
高校級スプリンターだった彼は二年前
に事故で引退を余儀なくされた。走れ
ない脚は亡いも同然だ。だが、ボート
仲間のタイ人青年ドゥアンが殺された
ことを契機に、凍った祐一の心に火が
つく。背後に浮かぶ蛇頭と孤島に住む
大物財界人の影。いつしか祐一は第二
の脚となった船で大海原に走り出す!
骨太で熱い青春海洋冒険サスペンス。

ちなみに、気になったことがあるので目次を写しておきます。

プロローグ
第一部
インターバル(1992・1)バンコク
第二部
インターバル(1994・8)バンコク
第三章
エピローグ

よく見てください、ま、クレームがいってるでしょうけれど、目次を写していて愕然としました。私の写し間違いではありません。第一部、第二部ときて第三章、と書いてあります。一体どんな仕掛けがあるのかと本文の第三章を開くと、ちゃんと第三部と書いてあります。チェ、単なるミスかよ、しかし目次でミスっていうのは痛いよなあ、なんて思いました。

閑話休題。主人公の間嶋祐一は今年で20歳になる大学生で、二年前、交通事故に遭うまでは20年に一人の逸材と言われていた元超高校級スプリンターです。両親を阪神・淡路大震災で亡くし天涯孤独。足が不自由になってからボートに乗ることを楽しみにしている、ということは分かりますが、天涯孤独で大学生、ボート遊び、っていうのが簡単に結びつきません。祐一のことを気に入り、気前よくボートを貸してくれるのが〈シーウルフ〉の持ち主で、レストランのオーナーシェフの溝渕です。

で、祐一が巻き込まれることになった事件の被害者ドゥアン・ウォラチャットですが、19歳のタイ青年で、震災の時、殺されていたのが発見されました。祐一の友人です。両親は日本人らしいのですが、タイで現地人によって育てられています。実の親にあいたくて来日したとなっています。タオはタイにいたときからのドゥアンの友人で、ドゥアンを追うようにして来日し、その後、祐一の友人となっています。三人でよく遊んでいたものの、友一の知らないところでドゥアンと二人で危ない橋を渡っていました。

もう一人の主人公、といえるのが古賀俊夫です。兵庫県警が暴力団の抗争で忙殺されていた1975年、タレ込みのあった台湾の麻薬ブローカー陳国順を取り逃がし、友人であった高見を半身不随にしてしまった元刑事で、それを契機に警察を辞めています。現在は田辺探偵事務所の事務員ですが、事件との関連で古賀には悪い噂がついてまわります。古賀の後輩で、今でも彼を慕い、協力を惜しまない兵庫県警刑事が松田で、逆に優秀な刑事として有名だった古賀に嫉妬し、今も悪意を持っているのが松田の同僚の語頭です。

そして、古賀の友人である高見聡がいます。陳国順逮捕劇に協力したために半身不随となり、その後、父の後を継いで(株)高見の社長になっています。体は不自由なものの、容姿に恵まれ経営の才能もあることから、或る意味カリスマ的な男と言えるでしょう。京子は高見の婚約者でしたが、事故を契機に婚約を解消し海外に行ってしまった、古賀と高見の二人から愛された女性です。

彼らに、高見の投資コンサルタントで、高見に悪いことが起きないことを願う暴力の臭いがする男・真木良介、漁船〈あけぼの〉丸の船長で、川西弘明の息子や、真木の後輩のヤクザ・岡部、暴力団の長で荒事をこなす一方で、健全な生活をすることをモットーとする男、関西の暴力団楽祐会の組長・野崎健吾、その部下の岡田、高坂、17歳の時、生家を飛び出し台湾流みんの仲間になり、その後、台湾の麻薬・拳銃ブローカーとして成功した陳国順、日本での通名は山口正夫などが絡んで物語りは展開します。

骨太な、という表現はあたっていますが、どうでしょう、今までの和製ハードボイルドを一歩も出ていないのではないでしょうか。正直、これを男性が書いたとして、こもまで注目を浴びたかどうか。話の展開もありがちですし、何より登場人物に魅力がありません。無論、悪くはありません。ただし輝きはない。これだけ筆が立つ人ですから、もっと違った世界を描いて欲しい、そう思います。
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