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悪人

悪人(朝日新聞社) 吉田 修一著
税込価格: ¥1,890 (本体 : ¥1,800)
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出版 : 朝日新聞社
サイズ : 20cm / 420p
ISBN : 978-4-02-250272-8
発行年月 : 2007.4
利用対象 : 一般

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内容説明

【毎日出版文化賞(第61回)】【大佛次郎賞(第34回)】幸せになりたかった。ただそれだけを願っていた…。保険外交員を殺害した男と、彼に出会った女。加害者と被害者、それぞれの家族たち。群像劇は、逃亡劇から純愛劇へ。悪人とはいったい誰なのか。『朝日新聞』連載を単行本化。

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コメント・書評

事故に近い事件
kumataro
Jul 11, 2009 6:30:12 PM
評価 ( マーク )
★★★★

悪人 吉田修一 朝日新聞社

 生々しい。舞台が九州、福岡、佐賀、長崎であり、九州生まれのわたしが知っている地名や行ったことがある場所が散在しています。西鉄バスのバスジャック事件が登場したりもして、九州弁の方言や若い女性たちのやりとりは、自分のいとことか、親族の話を聞いているようで、とはいえ、殺人事件の物語であり、複雑な心境で読み進めた長編となりました。
 物語全体は420ページとなっていますが、370ページ部分ぐらいで話は終結しています。最後の部分で小競り合いがあるものの、その部分の重要性は軽いものです。タイトルについては、「悪人」以外に適切な名付け方があったような気がします。
 福岡県久留米市の理容店娘、保険外交員の石橋佳乃さんが、長崎県の土木作業員清水祐一くんに殺害される内容となっています。ふたりの仲立ちは、性風俗産業であったり、清水くんの女性関係は、携帯電話の出会い系サイトであったりもします。
 道路にこだわる作者です。最初のうちの秘密は真犯人が見えないことにあります。冒頭、事件集結後の話として、犯人は清水祐一くんと断定されるのですが、殺害経過にはもうひとりの男性がからんできます。その男性の逃亡先が名古屋市で、これもまたわたしには身近で生々しい。
 被害者石橋佳乃さんの父親は、自暴自棄になって、名古屋市に逃亡していた男性を殺害するのではなかろうか。父親の立場にたってみると、いったい今までの自分の人生はなんだったのだろうかという自己嫌悪にも襲われるでしょう。いっぽう、清水祐一くんの逃避行につきあう光代さんの言動は不自然です。
 事故に近い殺人事件です。親族関係を混乱させる人物が何人か登場します。じっさい、そういう人物は、どこの親族関係にも存在します。
 犯人の清水くんは、母親に置き去りにされたこどもです。こどもを置き去りにする母親は、いつの時代にもいます。小さなこどもにとって、母親は自分を守ってくれる絶対的な存在ですが、母親は女性であり、女性は、こどもよりも恋人である男性を選択することがあります。されど、責める気にはなれません。こどもはいつまでもこどもでいるわけでもありません。親に依存せずに、自分で自分の理想とする家族をつくればよいのです。依存すると「怒り」だけが残ります。自立すればいいのです。
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