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ジョニー・ザ・ラビット

ジョニー・ザ・ラビット(双葉社) 東山 彰良著
税込価格: ¥1,575 (本体 : ¥1,500)
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出版 : 双葉社
サイズ : 20cm / 253p
ISBN : 978-4-575-23650-7
発行年月 : 2008.12
利用対象 : 一般

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内容説明

人間になりたかった、ちっぽけで孤独な探偵ウサギ、ジョニー・ラビットのワンダーランド! 愛とは!? 誇りとは!? 生きるとは!? ウサギが主役のピカレスク・ハードボイルドノベル。

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コメント・書評

装丁は素晴らしいです。手にしたときの感じ、重さ、表紙の硬さ、どれもいい。話の流れも悪くはない。でもね、ウサギにしたことのよさが伝わらない。なんたってキモの部分、そこがピンとこない。映画『ロジャー・ラビット』とは似ても似つかない世界、勿体ない・・・
みーちゃん
Jul 11, 2009 5:36:32 PM
評価 ( マーク )
★★★

東山彰良といえば『ラム&コーク』を大分前に読んだ記憶があります。読んだ記憶はあるものの、中味がどう、内容がこう、といったことは全く思い出せません。自分のメモを読んでみても情けないことに何も思い出せない。要するにあまり感心しなかった、っていうことなんでしょう。

さほど以前の作品が気に入ったわけではないのに、今回の本を手にしたのはちょっとぼやけたような、パステルかなにかだろう、ソフトフォーカスな兎と水平線が握ればくしゃっとなってしまいそうで、見ているだけで心が温かくなってくる。そんな愛らしい装画と(エリザベス・ムーン『くらやみの速さはどれくらい』で、私が牧野の装画を褒めた文章のコピペ)、東山彰良という名前の格好よさがあります。

牧野千穂の絵はいいです。私は島本理生『生まれる森』、アクセル・ハッケ作・那須田 淳共訳・木本 栄共訳 『ちいさなちいさな王様』、エヴァ・ヘラー作・平野 卿子訳『思いがけない贈り物』などのカバー画を描いているミヒャエル・ゾーヴァを思ったのですが、いかがでしょう。特にパステルらしい色の優しいつけ方が秀逸。ちなみに装幀・本文イラストは大野リサです。

ついでに書いていおきますが、今、読み始めた倉阪鬼一郎『遠い旋律、草原の光』のカバーのヴァイオリンの絵を見ながら、なんていい色合いなんだろう、飴色とでもいうのかしらん、楽器特有の透明感のある雰囲気がソフトフォーカスで描かれていて、それにバックの緑がかったグレイがなんとも優しい、とおもってチェックしたら、やはり牧野千穂でした。欲しい・・・

それと著者名。字面の美しさ、というか凛々しさではかなり上位にランクする名前ではないでしょうか。これは複合技としての評価で「東山」だけでも「彰良」だけでもここまでの効果はなかったと思います。「東山彰良」と一つになることで古風ではあるものの、それでいながらどこか爽やかな若者、といった印象を生んでいるのです。

目次を再現しましょう。

前口上
ないものねだり
CRY FOR THE MOON

第一幕
ジョニー・ラビットの兎失格
NO LONGER RABBIT

幕間
兎が西向きゃ尾は東
WHEN THE RABBIT HOPS
HIS TAIL FOLLOWS

第二幕
ジョニー・ラビットの小さき者たちの鎮魂歌
A FAINT REQUIEM

        終幕
ジョニー・イン・ザ・ブルー・スカイ
JHONNY IN THE BLUE SKY

こんな感じでしょうか。主人公はジョニー・ザ・ラビット、シクラメン通り十三番に事務所を構える兎の私立探偵です。年齢は不詳ですが、人間で言えば30~40代でしょう。ウサギというものの性質か彼の性格かは不明ですがが、メスウサギとみれば依頼兎だろうがすぐにバックでことに及ぶ色情狂ぶりです。そんなジョニーを可愛がるのがラッキーボーイ・ボビー、人間の殺し屋。

で、ジョニーにナニされてしまった依頼兎というのがソフィア・ラビットです。いなくなって十日となるテレンス・ラビットを探して欲しいと頼みに来て、そのまま探偵兎に、べらぼうに突かれてしまうという、なんとも無惨な兎の復活教会の信者です。彼女には、嘘をつくと脚をトントンさせる癖があります。

で、どうもテレンス失踪の背景には、かなり大物がいるらしい。それが週三回はテニスをするというマフィオーソ、ジョルジ・マンシーニであり、彼の右腕というのがもとボクサー、ブルーノ・ラリエリで、またの名を“ブル”・ブルーノ、“木偶の坊”・ラニエリといいます。勿論、二人とも人間です。この元ボクサーはラッキーボーイ・ボビーを敵視しています。

あとは読んでもらいますが、出版社はHPで、この話について

ジョニー・ラビットは昔マフィアに飼われていた雄兎。ある日、彼の探偵事務所に舞い込んだ失踪兎の捜索依頼は兎の集団自殺事件に発展。復讐を決意し街に戻ったジョニーは、仇相手の殺し屋ボビーに飼われることになり…。切ないハードボイルド小説。

と謳っています。ラストはともかく、盛りのついた兎の行動は、切ないハードボイルドというよりは、ミッキー・スピレイン風の暴力小説ではないかと思います。ちなみに、本文中でジョニーがメスにラビッチと呼びかけるのも、本兎の癖ではなく、兎世界一般のことのようです。

お話の構造はいいのですが、主人公を兎にしたことが効いていない、私はそう思います。素直な私立探偵ものにした方が良かったのではないでしょうか。それにしても魅力のないウサギではあります、ジョニーは。
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