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君は誰に殺されたのですか
パロマ湯沸器事件の真実

君は誰に殺されたのですか(新潮社) 江花 優子著
税込価格: ¥1,680 (本体 : ¥1,600)
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出版 : 新潮社
サイズ : 20cm / 315p
ISBN : 978-4-10-313181-6
発行年月 : 2008.11
利用対象 : 一般

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内容説明

息子が東京で急死した。その10年後、死因が一酸化炭素中毒であったことを知った。何故? どうして? 息子の死の真実を知りたいと願う両親の執念が警視庁を再捜査へと動かす。そして明るみに出た、驚愕の事実とは。

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コメント・書評

もしここに書かれる母親の叫び声が実際のものだとすれば、真実は必ずしも人の心をうたない、と言えます。その狂態が読者の気持ちを引かせ、評価も下げている。折角いいテーマを扱っているのに勿体ない・・・
みーちゃん
Jul 10, 2009 8:02:26 PM
評価 ( マーク )
★★★

ドキュメント、ということが良くわかる装幀ですが、驚きや感動はこのブックデザインでは味わえません。Eric Pearle/ゲッティ イメージズのカバー写真もフツーですし、新潮社装幀室の仕事も平均を出てはいません。ただし、本のタイトルはストレートであるせいか、強烈です。パロマについては散々報道されましたが、あらためて「パロマ湯沸器事件の真実」なんてかかれると何か新事実が出てきたのか、なんて思います。

出版社のHPには

親の一途な思いが、奇跡を起こした!

息子が東京で一人、急死した。病死だという。が、10年後、実はその死因が一酸化炭素中毒であったことを両親は知った。何故? どうして? 息子の死の真実が知りたい! 親の一念が、驚愕の事実を明るみに出してゆく。湯沸器事故による20人以上の死者……。気鋭の若手ジャーナリストが描く、あまりに劇的な衝撃ドキュメント!

とあります。「驚愕の事実」「劇的な衝撃ドキュメント」そしてタイトルの「君は誰に殺されたのですか」、いやはや煽って煽って煽って、まさに湯沸器。これで不完全燃焼だったらどうする、なんて心配になってきます。それだけではありません、息子の死を聞かされた母親の反応が異常です。あえて書きます、「凄い」ではなく「異常」なんです。

どうも聰子の言動にかかわる部分の表現がおおげさで、そこだけ読むと病気という感がぬぐえないのは、これがあくまで過去の再現部分であるとするとフィクションなわけで、その書き方だけは改めたほうがいいのではないか、少なくとも江花が自分で直接見聞きしていない部分の表現はもっと慎重であってもいいのではないか、と思われる。

例として第一章の15頁、息子の敦の死を告げられたときのことですが

「もしもし」
その声は、これまで聞いたことのない男性の声だった。
あぁ、やっぱり死んでいるんやわ――。
その声を聞いた瞬間、聰子は、髪をかきむしり、絶叫していた。
「ギャー、あっちゃん、助けて、助けて、あっちゃん……」
「お母さんですか。赤坂署のものです」
「あっちゃん、死んだって、本当ですか!?ギャー!!あっちゃん、死んだって!!あぁ、かわいそうに!!ウソよ!!ウソよ!!助けて!!」
「お母さん、しっかりして!! 今、家に一人しかいないんですか?」
「ワァー!! 一人……、一人です……」

とあります。71頁にも

「ギャー。どういうこと!! 何なのこれは!! やっぱり、自殺だったの!?」

と、この「ギャー」や「あぁぁ」は繰り返し使われ、彼女が始めたというブログも、106頁のように

そうやって生んで育ててきたんですよ。。。。。。。。。。。。 なのになのに。。
返してよ!! 敦を!  存在を返してよ!!!!!!!!!!!!」

と異常ぶりを見せ付けます。確かに、聰子は敦の死に母親としての責任を感じて精神を病んでしまうのですが、ブログは証拠が残っているからともかく、そうでない記憶の再現に「ギャー」や「あぁぁ」を多用するのは、決してプラスに作用しません。無論、江花の意図が聰子をそこまで追いやった事件の悲劇性を訴えることにあるにしても、読者には母親の精神の病み方ばかりが伝わるのです。

それと、この本のタイトルだけを読めば「パロマ、悪し」ということで終ってしまいます。確かにパロマの対応の悪さ、自分は間違っていないと信じるが故の傲慢、無神経には糾弾されてしかるべきですが、でも、事件の真相を長い間見えなくしていたのは行政であり、その後も自分に責任なしとして公の場に顔を出さないM元警部補です。

事件を捻じ曲げ、事故であったことを結果的に隠蔽してしまった警察官、赤坂署のM警部補は、退官した後も、個人に責任はない、組織の問題であると発言し、一切謝罪をしようとしません。日本人の体質、とは言いません。そういう人間は洋の東西を問わずいるのですが、この警部補の言動は、戦争責任をとろうとしない帝国軍人や政治家に相通ずるものです。

しかも、パロマ関係者は実名が記載され、それゆえに社会的制裁を受けているのに、警察関係者はすべて公務員であるがゆえに名前が伏せら、不当に守られている印象があります。教育関係者の不祥事でも、中々学校関係者の名前が明かされず、結局、秘匿されたままに他の学校に配置転換され、そのままノウノウと彼らが生き延び再び事件を起こすことがよく言われます。

この国の公務員は、いったい何をもっとも大切にしようとしているのか、この本で最も心に残るのはその点です。彼らの保身体質と隠蔽行為がなくならない限り、この国の未来はない、そう思います。ただ、それを読み取るに至るまでの「ギャー」や「あぁぁ」の頻出は、繰り返しますがマイナス効果しか与えません。

母親の狂態は、己の事故後の判断の不手際を他者に転嫁するものにしか見えませんし、M元警部補が登場することでパロマの責任のありかたが、後半に入って急速にボケてしまった感があります。いいテーマなのに勿体無い・・・。

最後は目次。

プロローグ
第一章 「直接死因 病死の疑い」
第二章 ギタリスト・山根敦
第三章 挫折
第四章 10年間
第五章 「直接死因 一酸化炭素中毒」
第六章 警察は敵なのか
第七章 異例の再捜査
第八章 新たな闘い
第九章 責任はパロマ社だけにあらず
第十章 誰が改造を行ったのか
第十一章 時効の壁を超え
第十二章 まだ、終わっていない
第十三章 ラストソング
エピローグ

あとがき 江花優子 
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