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1Q84
BOOK1
4月−6月
a novel
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コメント・書評 |
読んでよかった1冊
kumataro
Jul 2, 2009 11:00:24 PM
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評価 ( ★マーク )
★★★★
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1Q84(ichi-kew-hachi-yon) BOOK1・2 村上春樹 新潮社
IQ84と勘違いされる方も多いのではないでしょうか。わたしは勘違いしました。知能指数が85の人物が主人公だと思っていました。(普通人の基準は100のようです。)タイトルの答えは1984年でした。 主人公は二人います。小説家志望の川奈天吾さん29歳男性とスポーツインストラクター女性青豆(あおまめ)さん1954年生まれの30歳独身、身長168cmです。ふたりのお話が交互に記述されていきます。 同作者の「海辺のカフカ」みたいと読み始めは思いました。 天吾さんには、小松さん45歳編集者とふかえりさん(深田絵理子)17歳がからんできます。青豆さんの相方(あいかた)は、同級生大塚環(たまき)さんです。 巻頭に「この世はつくりものの世界」とあります。確かに生きている今に「現実感」がないことはあります。 1926年作曲、ヤナーチェックの「シンフォニエッタ」というクラシック曲が鍵を握るような啓示があります。加えて「空気さなぎ」という文学作品が何かを意図する存在になるようです。 青豆さんが首都高速道路の非常階段を降りたあたりから時間・空間が変容しはじめたようです。 読み始めは、同作者の「地球のはぐれ方」という本のイメージが頭から離れなくて読みに真剣さが不足しました。なんだか笑えてくるのです。青豆さんはどうしてこんなに生き生きと話すことができるのでしょう。そして、天吾さんの生活ぶりは作者の過去の生活ぶりと重なるのだろうか。青豆さんが感じる時代の事実の変更とふかえりさんの生い立ちが「秘密」になっていきます。 1981年10月19日に過激派と警察の銃撃戦があった。人間ではない何者かに人間は、情報操作されはじめているのか。それとも青豆さんになにかがのり移ったのか。青豆さんのセックスライフは苦しい。日曜日お昼の「新婚さんいらっしゃい」を見ていると、みなさんあっけらかーんと性生活を楽しんでいらっしゃるのに小説になるとそれはとても深刻です。戎野(えびすの)先生、ふかえりの父親深田健、このふたりがボスか。あゆみさん(婦人警官)は、青豆さんを逮捕するためのおとり捜査ではないのか。わたしにとっては、月がひとつだろうが、ふたつだろうが、どうでもいい。みっつでもよっつでも気にしません。空にそれらがあればあったでいい。昔聞いた1990年という歌を思い出した。90年に娘が21歳になるという歌で、父親が娘の異性関係を心配していた。だが、90年はもうとっくに過ぎてしまった。時の流れは速いものです。 460ページのサハリンは、「地球のはぐれ方」で紹介されていた。日本的な町が残っているそうです。作者の創作のネタがわかる。作者の頭の中にあるもので、小説を構成するしかない。ふかえりは、宇宙人か、古代人か、未来人か。天吾は、嘘がばれてこれから追い込まれていくのだろう。 「空気さなぎ」からわたしは、蚕(かいこ)の繭を想像します。小学生の頃、こどもの科学だったか学習だったかの本に付録で蚕の繭が付いてきたことがあります。さなぎは、蝶になるのか蛾(ガ)になるのか、そんなことを考えながらそのときはこの本を読んでいました。でも蝶にも蛾にもならない。もっと別のものになるのです。 作者の創造力、空想力、物語の構築手法は驚嘆に値します。第19章「青豆―ドウタが目覚めたときには」から物語はクライマックスに突入します。作者が保有している知識、経験に既存の出来事を組み合わせて築いてある物語です。今もなお、老若男女に関わらず、テレビを見ない人、新聞を読まない人、携帯電話をもたない人、車をもたない人、運転しない人、そういう人はたくさんいます。それぞれの人が、自分の1984年で暮らしています。空に月が何個あってもかまわないのです。作者の筆記は自由奔放でのりにのっています。 最後の1行を読み終えたあとの感想です。これから先にまだ物語が続いていくような心地よい余韻がありました。読んでよかった1冊になりました。
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