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いつも旅のなか
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コメント・書評 |
作家の素顔
kumataro
May 2, 2009 7:07:54 PM
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評価 ( ★マーク )
★★★★★
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いつも旅のなか 角田光代 アクセス・パブリッシング
わたしはこの作家さんの作品は苦手です。以前「空中庭園」を読み始めましたが、30ページほどで読むことを断念したことがあります。しかし、この本は旅行記なので読んでみることにしました。 海外旅行記です。登場する国々は、モロッコ、ロシア、ギリシャ、オーストラリア、スリランカ、ハワイ、バリ、ラオス、イタリア、マレーシア、ベトナム、モンゴル、ミャンマー、ネパール、タイ、台湾、アイルランド、中国、韓国、スペイン、キューバと多彩です。読み終えて、わたしが行きたいと感じたところはモロッコ(砂漠、峡谷)、ギリシャのカランバカ村(岩山の上に修道院が建設されている。)、ベトナム(北ベトナムの首都だったハノイ)、モンゴル(大地と大空が広がる風景)、タイ(プーケット(リゾート地))でした。 読み始めて驚かされたことは、短文なのです。1か所の記述があっという間に終わってしまいます。また、その土地の暗い部分が記述されています。直接的な観光勧誘案内にはなっていません。読み始めは物足りない感じがしていましたが、読み進むにつれて、やはり作家さんの文章です、中身が濃厚になり力強さが湧き出してきます。 作者は大変かわいらしい容貌なのですが、していることはおじさんです。タバコを吸い多量のアルコールをたしなみ、前へ前へとイノシシのごとく突進していきます。うまく表現できませんが、著者は幸福(しあわせ)を追求しているのではなくて、シアワセ(カタカナ表記になります)を追い求めています。 ロシアにしてもキューバにしても社会主義の国では、人が働かないという印象をもちました。競争主義ではないので、働かなくても配分されるものがある、お金持ちから配分されることを当然のこととして受け止める、汚職が蔓延(まんえん)する、権力者が派閥や親族の利益を優先する、そんなところです。 ギリシャの旅は楽しく読みましたが、作者はひとりぼっちでなんだかさみしい。全体をとおしてですが、やはりひとりごとのような記述が多くなり、作者の孤独が浮き彫りになってくるので、わたしは作者のような旅はしたくありません。以前読んだ同作者の作品「だれかのいとしい人」を思い出しました。 オーストラリアの記述で登場する匿名の島は「ハミルトン島」ではないかと思うのです。わたしが訪れたとき島の北端にコアラがいる小さな動物園がありました。作者の記述に付け加えると、セキセイインコがすずめのように飛び、カンガルーが野良犬のように道端に寝そべっていました。 77ページ、スリランカ編で登場するヒンズー教の神さまの名前「ガネーシャ」は、「夢をかなえるゾウ」水野敬也著飛鳥新社に登場する神さまの名前であることが判明しました。 本に明記してあるわけではないのですが、この本を読んでいると、アメリカ合衆国という国は、いつの時代でも地球上のどこかの場所で戦争をしていないと気がすまない気質をもった国であると感じました。わたしはだんだんアメリカという国が嫌いになってきています。日本人であるわたしはアジアの一員でありたい。 ミャンマーでは観光客でさえ「ス・チー」という言葉を発してはいけないようです。言論の自由は大切です。 タイを例にして、日本人は70年代を境にして日本人の体験が変化したという作者の意見には同感です。わたしが就学時6才の頃に住んでいた熊本県の離島では、大きな穴に2枚の板を渡して大小便をしていましたし、お風呂は板を踏んで入る五右衛門風呂で、母親たちはそろって、川で洗濯をしていました。物々交換として、卵と氷を交換するとかいう習慣も残っていました。幼かったわたしは、人糞を桶に入れて天秤棒でかつぐ祖母のうしろを歩いて畑へ行き、肥(こえ)を畑に撒(ま)く祖母の姿を見ていました。 中国上海の記述で述べられている、一度来てみて、もういい、再び来たいとは思わないという感想は、高校の修学旅行で上海に行ったことがあるうちのこどもの感想と同じで微笑みました。 全体をとおして、毎日大量の文字を書いている作家さんの文章だと感じました。内容には意味深いものがあります。キューバ編、300ページ付近にある作者の記述「何を成していようがいまいが、日常を生きるごくありきたりのひとりである」は名言です。 最後に、本のどこかに記述があったのですが、「人は2番目に好きな人と結婚する」について、わたしはやっぱり、世界中で1番好きだと思う人と結婚してほしいです。
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