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世界経済危機日本の罪と罰
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コメント・書評 |
あり余るお金を使わない日本こそ、世界危機の原因だ!
T.コージ
Feb 10, 2009 7:35:51 PM
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評価 ( ★マーク )
★★★★★
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膨大な資料を駆使して状況を読み取り、その原因を探り、瞬く間にレポートと分析を仕上げる…。 データはどんどん入手するだけで整理しない。あふれるデータを整理している暇などないし、そんな事をしてる間に状況も変わってしまう。気になったことをどんどん検索にかけて抽出を繰り返す。縮減されていくデータのクラスターに事象の因果や輪郭が浮かび上がってくる…。何度もチェックするデータはスタックしていつも目の前にせり出ている…。 データの全文検索とスタック情報のフロート化、そしてアプリとデータベースは持たずに身軽に動き回る。このパワーサーチとデータのフロート化、これが93年に『「超」整理法』として紹介された著者の仕事の仕方だ。最近はクラウドコンピューティング化してさらに仕事のスタイルは身軽らしい。データに裏打ちされた揺るぎない認識とリアルタイムの現状へのアプローチで次々と量産とは思えない分析レポートが繰り出される。 まず大蔵省をはじめとした資料庫から生まれたのが『1940年体制―さらば戦時経済』だった。この『1940年体制』で現在の日本が戦前の統制3法(ファシズム法)に支配されていることを解き明かしたり、『日本経済改造論―いかにして未来を切り開くか 』でサラリーマン世帯の妻への年金など法的な根拠のない手厚い手当を解消すべきだと主張してもきた。常に全体の構造を見渡し、法的な根拠を問い、豊富な資料から解き明かしていく言説は説得力がある。こういった前提の上に出たのが本書。 今回は100年に一度という現在進行形の世界経済のブザマな状態がターゲットだ。 結論をセンセーショナルにいえば以下のとおり。 この危機はマネーゲームが原因ではない! この危機はアメリカ発だけではない! この危機は日本の危機である。 なぜなら日本発だからだ! それは本当の構造改革が行われていないからだ… 構造改革で<統制3法>に象徴されるような法制上の根拠は消えたが、元来<1940年体制>が護持してきた官僚やそれに忠実な企業の既得権益保護と自己保身の姿勢は変わっていない。あるいはこういう経済状況だからこそむしろ既得権益に固執しているとも考えられる。 大企業16社で社内留保金が33兆円もダブついている。半端な民営化の郵政では郵貯資金340兆円が公表されずに国債や公共ナントカに財政投融資されつづけている。根本的な日本の経済問題は、これらの膨大な資金が公正に正常に投資される環境がないということなのだ。選択消費が半分以上を占める先進国では投資は他の産業に代わる大きな事業として成長しつつあった。3次産業以上の高次の産業では歴史的な発展上も情報と金融は主たる産業だ。これからの日本では技術立国という発想は幻想になる可能性が大きく、BRICSをはじめとして成長途上の国家が回復すればすぐに低賃金ゆえのコスト競争力に日本は圧倒されてしまう。ポイントは情報と金融なのだ。
今回の危機の背景にアメリカの住宅バブルと金融バブルを支えたのが日本から還流する資金であることが示されている。日本が対アメリカ貿易で得た資金はアメリカ国債とアメリカへの投資に支払われていったからだ。アメリカは日本からジャブジャブやってくるお金で好きなことをした、ということだろう。しかし、それでも市場に厳しいチェック機能があれば住宅の普及もウオール街のマネーの運用も適切なものとして展開できたはずだ。金融のホントの怖さは、これらのイレギュラーさえレバレッジで拡大されてしまうことだろう。 今回の危機は、 ファイナンス理論が使われたために起こったことではなく、 使われなかったために起こったことだからだ… (P245) 著者の専門がファイナンスや公共経済であるためか、雇用や賃金からの視点がない。2002年からの日本の景気回復の要因は対米輸出の増大と極端な円安の2つとされている。確かにそうだがそこには同時に<賃上げナシ>と<派遣の自由化>があり、<景気回復分>に占める人件費などの割合が重要だと考えられる。90年代初頭にバブル崩壊を経験した日本がとった処置は<雇用の自由>を安全弁として使うことだった。雇用調整で企業を守ろうとするその卑小な自己保身がとんでもない結果を生みつつあるのが現在だ。 GDPの3、4年間分のお金がダブついている国などどこにもないだろう。国はそれを保険にしてしまって何もしない。企業も莫大な留保金を保持するだけで何もしない。こういった官僚や企業の自己保身の構造が、派遣解雇だけで済むことではない事態を本書はえぐりだしている。日本の企業へ投資した外資は<ハゲタカ>とかいわれたが、企業に含み資産や社内留保金の用途を問いただしたのは外資や村上ファンドだけだった。本書はそういった外資の圧力にも期待を表明している。自己改革ができなければ外資を頼らざるを得ないのだから。 |
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