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ブックデザインミルキィ流

ブックデザインミルキィ流(毎日コミュニケーションズ) ミルキィ・イソベ著
税込価格: ¥3,990 (本体 : ¥3,800)
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出版 : 毎日コミュニケーションズ
サイズ : 24cm / 283p
ISBN : 978-4-8399-1935-1
発行年月 : 2008.6
利用対象 : 一般

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内容説明

どのような思考のプロセスによって、本をデザインするのか? ブックデザインの考え方、テキストやケースのデザイン、特殊加工の装幀などについて、人気グラフィック・デザイナーが多数の作品を紹介しながら解説。

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コメント・書評

精神だけではなく、技の奥底まで公開する、学生からデザイナー、私のような本好きまで幅広く読むことが出来るブックデザイン本の決定版、ミルキィさんはそれを伝える術を知っています。
みーちゃん
Dec 3, 2008 7:36:52 PM
評価 ( マーク )
★★★★★

派手派手の意匠がいかにもミルキィ・イソベだな、なんてお気楽に手にした本ですが、その中身たるや装幀に関するエキスがどっさり詰まっています。それを成し遂げたのは、ミルキィ・イソベただ一人ではありません。とりあえず、私が考える関係者を書き写させてもらえば以下のようになります。

ブックデザイン ■ミルキイ・イソベ(ステュディオ・パラボリカ)
編集・DTP    ■江藤玲子 ■ピーチプレス株式会社
レイアウト   ■江藤玲子 ■明光院花音(ステュディオ・パラボリカ)
構成      ■山崎典夫
写真      ■引田充 大沼洋平(引田充写真事務所)
カバー印刷   ■アインズ株式会社
印刷・製本   ■大丸印刷株式会社

繰り返しますが、ともかく凄い本です。正直、装幀用語もろくに知らないでブックデザインについて語っていたのが恥ずかしくなる、そんな本です。つい先日、菊地信義『新・装幀談義』を読んだばかりですが、菊地は精神を語り、イソベはその手の内を見せて装幀の実際を教えてくれた、そう位置づけてもいいかもしれません。

なにより情報量が凄いです。たとえば46版ですが、同じ46版でも出版社によって寸法が少し違う、その微妙な差がじつは万一のときの行数に利用できて、同じ頁数でも文字数の差にすることもできる、なんて知りません。

それと装幀家の仕事の範囲です。普通は、カバー、表紙、見返し、総扉もしくは本扉、帯の5点がセットになって依頼されるそうです。用紙や印刷方法もデザイナーが決める。でも場合によってはもっと踏み込む。帯の言葉も、ですし本文のフォーマット、あるいは行がえの時の文章のきり方まで考える。もちろん、フォントもサイズもです。本文の紙まで。

ま、いつもそうだというわけではありませんが、必要であればやる。無論、小説であればそれを読む。ま、これはプロであれば誰もがするのでしょうが、でも読み込み方は想像以上。これって編集者と変わらないじゃん、なんていう読み方です。そして紙選びです。これがまた凄い。いえ、苦労話は書いてありません。たださりげなく選んだ紙の名前があげてある、それだけ。

でも、その種類が凄い。それと名前。まったく知らない紙の名前が沢山登場します。ま、これは建築家が材料名を知っているようなものなので、プロなら当たり前かもしれませんが、菊地信義は決してこういう情報を『新・装幀談義』で明かしません。そのエッセンスだけを書いていたことがわかります。

印刷方法もですし、箱の作り方、本文レイアウト、造本もこの調子。要するに教科書です。きわめてレベルが高いけれど、センスがよくてわかりやすい本。しかも空論ではありません。実例つきで、それがまた量が多くてわかりやすい。印刷もいいです。これを読んでしまうと、お気楽な装幀談義はしにくくなります。ま、私は性懲りもなくやりますけど・・・

装幀とちょっと離れて、イソベが手がけたものとしてここに採りあげられた本で、私が読んでいるものをあげてみましょう。まず
『黄金旅風』『眠る骨』『そんなに読んで、どうするの?』『宇田川心中』『本棚探偵の冒険』『文学的商品学』『レインレイン・ボウ』の六冊です。写真集などはほとんど見ないので、小説だけに限ればかなりの打率です。

私はミルキイ・イソベがその装幀を多く手がける笙野頼子の作品をほとんど読まないので、もし愛読者だったら打率はイチロー並みになったのでは、なんて思ったりします。それと哲学を毛嫌いしているので、もしかするとこのなかで最も好きな装幀かもしれない『アルトー後期集成』などは目にしたこともありません。でも、この品格はすばらしい。コミックスも読まないので『楠本まき選集』も知りませんでしたが、『アルトー後期集成』とある意味、同系列の傑作ではないでしょうか。

書店で見かけたこともないですが、見つけたらチェックしたい本がいくつも出ています。岩波書店『21世紀文学の創造』、吉田良『解体人形/ARTICULATEDDOLL』、山本タカト『緋色のマニエラ』、正子公也『無極』、トレヴァー・ブラウン『Medical Fun』、野村誠『路上日記』。いえ、できるならここに出ている本全部欲しい。

装幀家というのは、単なるデザイナーでもなく文章家であり、職人でもあるということがよくわかる一冊です。長女の高校時代の同級生がBL小説の自費出版をしているんですが、彼女はいつも装幀で悩んでいるといいます。ぜひ彼女に一冊、と長女に伝えておきました。今後、装幀を語るのに避けて通ることのできない一冊といえるでしょう。

ちなみに、私はミルキイ・イソベが経営するという京橋の画廊を覗いてみようと思っています。ま、その前にイソベが働いていたという銀座の青木画廊のほうには何度か足を運んでいるので、もしかするとそこで接近遭遇しているのかもしれませんが、この本にご尊顔は掲載されていません。うーん、残念・・・

参考までに、目次から大見出しだけ書いておきます。

はじめのちょっと

CHAPTER1 読む本のデザイン
コラム/文学書のデザインについて
CHAPTER2 写真集・作品集のデザイン
コラム――人形の写真集――女性作家の視点 『月の神殿』
CHAPTER3 ブックデザインの考え方
コラム――編集者に常日頃、自分のデザインを伝えておく
CHAPTER4 テキストのデザイン
コラム――紙と書体の関係/本文組みにもっと関心を
CHAPTER5 特殊加工
コラム――「黒」を見せる
CHAPTER6 ケースのデザイン
コラム――ケースのデザインで気をつけること
ミルキィ流用語INDEX
あとがき

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