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流星の絆

流星の絆(講談社) 東野 圭吾著
税込価格: ¥1,785 (本体 : ¥1,700)
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出版 : 講談社
サイズ : 20cm / 482p
ISBN : 978-4-06-214590-9
発行年月 : 2008.3
利用対象 : 一般

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内容説明

【新風賞(第43回)】「兄貴、あいつは本気だよ。俺たちの仇の息子に惚れてるよ」 惨殺された両親の仇討ちを流星に誓いあった功一、泰輔、静奈の3兄妹。14年後、彼らが仕掛けた復讐計画の最大の誤算は、妹・静奈の恋心だった。

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コメント・書評

三ツ星でなくても流星三つのハヤシライス
空蝉
Oct 28, 2008 9:13:30 AM
評価 ( マーク )
★★★★

この物語は特別凝った技巧やトリックがあるわけでも、猟奇的な殺人があるわけでもない。いわゆる「驚くべき」と展開はなく、おそらくこうなるであろうと予想のつく結末に辿り着くのではないだろうか。
しかしだからこそどこか懐かしく、わかりやすく、共感してしまいやすいのかもしれない・・・作中の人物に真正の悪人はおらず、誰も彼もがやむをえない事情を抱え、いくつかの偶然に引き寄せられるようにして当事者たちが縁り合わさっていく。
そう、東野作品の多くはいわゆるご都合主義の偶然の上に成り立っている。しかしそれを差し置いてもドラマチックな展開に読者を引き入れ飽きず読ませてしまうのはやはり卓越した持ち味と言うべきだろう。

いわゆる町の洋食屋で腕を振う父が作り出したハヤシライス、そしてそのレシピノートがこの物語のキーワードだ。
絶品のその味は父母が殺害されたことによって封印されるが、兄弟妹の絆となり思い出となり、唯一無二の味、のはずだった。
世間の荒波にもまれ騙され、しかし彼ら兄弟妹は逆に詐欺で荒稼ぎして生きてきたが、ターゲットの男(大手チェーン洋食店社長の息子)が新しくOPENさせようとする洋食店のハヤシライスの味は、紛れもなく父のモノ。
彼の父の顔をみて犯人だと証言し煮えたぎる弟、憎むべき殺人者の息子を次第に愛し始めて苦悩する妹、兄として息子として背負い込み奔走する長男。そして、次第に明らかになる父の実体。
テーマとしてはありがちなロミオとジュリエット的な悲劇モノであり、兄弟家族モノであり、軽いエンタメのノリでするりと読めるミステリーだ。特に凝った趣向も仕掛けもない、と思う。
だから本格ミステリーや細かい薀蓄、トリックを楽しみたいのなら他をあたったほうがよい(笑)そのかわり、誰一人として悪意を持った人間がいない、優しく温かなドラマがここにはある。
少子化な上に格差社会。血の繋がった家族でもふとしたことで殺人事件に発展してしまうこんな世の中。それでも兄弟妹の絆と誓いと父母への思い出が交錯する優しいこの物語が、ドラマ化し多くの人の目に留まることはきっと意味があるに違いない。
唯一つ、ラストのしめ方には甘さがある。辛口のミステリー愛読者には納得いかないかも知れない、けれどそれこそご都合主義の東野作品の心地よさなんだと、少し緩めて物語を楽しんでみてはいかがだろうか。
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