コメント・書評 |
真昼の月の下で
空蝉
Oct 16, 2008 1:14:47 PM
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評価 ( ★マーク )
★★★★★
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祖母亡き後母も父も去った鎌倉の家に残された3人姉妹と、異母姉妹の妹が共に暮らすようになって一段落したのが前作。第二巻となる本書は平凡で、だけどその時、その彼女自身にとっては重要な、其々の事情を抱えた「出来事」が現れては消化されていく。 4人姉妹とも年齢が離れているから扱う話題も問題も様々。だからこそ読者にとってはどこかしら共感するところがあるに違いない。何よりここにある出来事も事件も事情も、行き着く先は私たちの最も身近で厄介な存在、家族にあるからだ。 吉田氏にとってきっと鎌倉は題名にあるとおりDiary、つまり日々の出来事、平凡な日常だ。そこには家族も友達も恋人も居て、「真昼の月」のように気がつかないけれどいつも近くで同じときを過ごしているのだ。 そしてもう一つ、真昼の月には意味がある。 表題作には自分たちを捨て家を出た母と彼女たち姉妹、ことに母を許せない長女との軋轢が描かれている。真昼の月、それは気がつかないほど見慣れた日常、身近な人というだけでなく、私たちが知らず知らずのうちに傷つけてしまう誰か。それすら認識していない、いっぱいいっぱいなこの心だ。 そして家族は多くの人にとって、そういう真昼の月なのだろう。 既刊『ラヴァーズキス』の、家族だからこそたまらないこともある、というあの言葉が思い返される。 家族だからこそ、あまりに身近で気兼ね無いはずの存在だからこそ、どうにも身動きが取れなくて空回りしてしまうことが、きっとある。 だから、たまには真昼の空に月を見つけてみよう。 なかなか見えなくても、見つけるのが難しくても、きっと、必ずそこには月が私を見守っているのだから。
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