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この国の経済常識はウソばかり  新書y

この国の経済常識はウソばかり(洋泉社) トラスト立木著
税込価格: ¥798 (本体 : ¥760)
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出版 : 洋泉社
サイズ : 18cm / 207p
ISBN : 978-4-86248-320-1
発行年月 : 2008.9
利用対象 : 一般

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内容説明

戦後「最大」の景気拡大の正体は、新興国の成長のパイにリンクできた「BRICs景気」に過ぎなかった。シルバー民主主義が跋扈するこの国の経済原理を説き明かし、アラウンド40が逆転勝利するための経済学を指南する。

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コメント・書評

老人は弱者だという先入観をブチ破らないとアラフォー世代以降の人間は救われない!
T.コージ
Oct 10, 2008 6:10:33 PM
評価 ( マーク )
★★★★★

●<経済>というものの見方は?
 日本の現状が「時間」を手がかりに説明され、経済を時間の再配分という面から考えるマクロ経済(学)なのだが、すべてが具体的でわかりやすく面白い。内容は衝撃的だが、1日に2、3%変動する為替レート以下の数値を妄信するような数値信仰書でもなければ「昔は鬼畜米英、今はグローバリズム」のような被害妄想を煽る書でもない。日本の将来を担う若い世代が年長富裕層の犠牲になっているコトを誰にでもわかるように検証しているのだ。
 
 まえがきの1ページ目から2000年代以降の景気が「人件費の圧縮」で支えられてきた事実がクローズアップされている。もちろん人件費を圧縮されたのは若い世代であり、その究極の犠牲者はフリーターやニートだろう。
 インフレターゲットの設定で経済がコントロールできるという数値信仰や、低コストの生産国である中国からの輸入の影響を認めない偏狭な認識などとくらべて、本書では簡明で鮮やかに事実が示され分析されている。
 
 日本の経済状況を「時間」と「記憶」から説明するという観点が新鮮だ。経済を価値を形成する時間と空間の錯合から説明するのは『資本論』の特徴だが、本書はもちろんマルクス系の内容ではない。しかし、単位あたりの時間や空間から計算し認識するのは科学の前提であり、本書はある意味とても科学的にそれを踏襲しているといえる。
 青春時代から順当?にマルクス、ケインズ、ハイエク、フリードマンを愛し、バブル時代にはハイレグを愛したという経歴が、必要以上の親近感?を持たせ、なかなか侮れない著者である。w
 
●若者は日本の生贄にされた!
 90年初頭のバブル崩壊後、多少は経済が持ち直したと思われた時に政府は消費税を上げてしまい一挙に景気は冷え込んでしまった。自らの財源確保(バラ撒くための)ばかり考えている政府は経済復活の芽を潰してしまったのだ。もちろん当時の橋本首相と自民党は選挙で大敗北した。その後2000年代になっても景気浮上のキッカケがつかめないと、政府は財界・企業からの要望で非正規雇用への道をひらいた。正当な理由はあるものの世界企業と呼ばれる企業ほどこの制度によって利益を上げているという事実があり、構造改革が隠蔽?した最大の効用はこれだったのではないか?と思わせる。
 
 それは、若者と次世代を犠牲にすることを年長世代が決断したことを意味している。フリーターの生涯賃金は正規雇用の5分の1。ニートは結婚しないので子孫をつくらないから滅びるとまで言った大臣がいるほど年長者のエゴと残酷さが露呈した。特に保守系議員や与党関係者による若者や下流階層?に対する上から目線と説教は醜く、愛国心の必要を説くなど自らを予め正統化するための老獪さは見事でもある。本来愛国心が立脚する封建制では王や家父長が命をかけて民や子を守るのであって、現在のように自らの生存を保障しない共同体に対して素直に従う理由などどこにもなく、国家や家族をめぐる問題のすべてはそこに収斂するだけだ。本来愛国心は民と子を守る共同体でのみ必然とされる精神のはずだ。
 
●なぜ年寄りは若者を助けないのか?
 日本の自殺者は1年間でイラク戦争のアメリカ軍戦死者の6倍。毎日死者100人という状況が10年も続いている。ひきこもりやニートは一説に600万人。この社会が正常なワケが無いが、社会の弱者からの声はせいぜい「希望は戦争」程度のパフォーマティブな言説以外は注目されることもなくメディアも関心を持たない状態が続いた。しかし生きていくことの限度を超えた状況に『蟹工船』が読まれるようになったり、政治というより政策への関心が高まってきているのも確かだろう。
 
 現況の原因とは…高度成長時代の官僚の当時の現状認識とそれに立脚する将来設計、そして現在に至っては既得権の死守…当初の政策と財政は時間の経過とともに整合性が失われ、それらの反省から生まれた構造改革は骨抜きにされてしまった…失われた10年を経ても回復しそうに無い経済に関して年長世代がとうとう踏み切ったのが若い世代(とサラリーマン)を犠牲にすることだったといえる。派遣と業務委託が6割以上を占めるような企業の経営者が経済団体の長になっている事実はジョークでもない。
 高度成長期からバブル期までのオメデタイ時期に策定された政策をそのまま引きずっており、バブル後にとられた政策は単に次世代に負担を課すだけのものになっていった、ということであり、団塊世代以上の年長者がアラフォー世代以降の若者を犠牲にしているということだ。
 主な問題は60年もあとで償還される国債や支払いの数倍の受取りをしている現行の年金なのだ。年金問題というのは将来の受取り金額が現在の支払金額よりも少なくなることが障害であって、現在支払わない人がいることではない。政府の宣伝文句の「年金は世代と世代の助け合い」ならば、どうして年長者世代は若者世代を助けようとしないのか?
 
 本書ではこれらのことが具体的に丁寧に説明されている。
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