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虚夢
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コメント・書評 |
彼の見ている世界に、私はいるのか。
空蝉
Sep 30, 2008 3:36:07 PM
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評価 ( ★マーク )
★★★★★
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昨今、度重なる悲惨な事件がおおい。そしてあまりに残虐なケースは、加害者が精神に異常をきたしていた、つまり精神障害者という精神鑑定が必ず法廷の場で問われる。ややこしい法律や人権の問題は私たち一般人にはなかなか答えを出すことは難しい、ましてや当の犯罪者の心情など理解しようがない、しかし本書を一つの手がかりに、主観を取り除いて見直して欲しい。
まず精神障害者とされた加害者は刑が軽減されるが、社会的生物である人間としての尊厳もまた剥奪される。これは妥当といえるのだろうか? 例えば本書の通り魔事件。被害者遺族の悲しみも怒りも計り知れないが、被害者とその遺族が求めている答えは、加害者が病気であるかどうかではなく、彼がそれ相当見合った刑罰を受けるかどうか、見合っているかどうかではないか?精神障害者という便利な言葉に果たして議決権はあるのだろうか?ことはそんな単純なことではないはずだ。
統合失調症・・・本書に登場する加害者が見る「了解不能」の世界を私たち健常者(とされる者)が理解することは不可能だ。 例えばこの物語。突然娘を殺され妻は加害者と同じ病気=統合失調症となり、主人公である夫や周囲の献身虚しくついには離婚する。その4年後、再び加害者に襲われるという幻に取り付かれた妻と再会し、さらに現実に彼が社会復帰し夫の目の前にも表れ具現化したことから新たな悲劇が生まれた。 人を殺してでも世間に、社会にメディアに訴えなければならないものが、妻を「虚夢」に走らせたのか・・・いや、全ては虚夢なのか?真実はどこにあるのか?彼ら精神障害者の見ている虚夢は理解できない非現実であり我々「社会」には了解不能である限り、決して100%の保障も刑罰もありえないのだと、改めて認識しなければならない。
彼女が本書を通して我々に訴える法と病の現実の程を、彼らの見る世界のあまりに深い精神の程を、我々はあまりに軽視している。 本書ラスト。誰も彼も、全てが虚夢に帰していくこの物語の結末でただ1つ、貫かれた真実が彼女の夢の中にある。 我々はこの虚夢に包まれたこの物語を真摯に受け留めなければならない。 誰もがみな、心神を持つ人間がひしめくこの社会に建つ人間なのだから |
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