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ブラック・ジャック・キッド
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久保寺 健彦著
税込価格:
¥1,365
(本体 : ¥1,300)
出版 : 新潮社
サイズ : 20cm / 228p
ISBN : 978-4-10-305971-4
発行年月 : 2007.11
利用対象 : 一般
出荷可能時間:
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コメント・書評 |
まだ見ぬ未来のHOMEに
空蝉
Sep 24, 2008 3:32:22 PM
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評価 ( ★マーク )
★★★★
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一人の特異な少年の、「普通」との葛藤と自分自身の成長を描いた物語、というと端的過ぎるかもしれないがこのテーマこそ著者の得意とするところなのだろう。少年の頃のまっすぐで意固地で何かに異常なこだわりを見せる純粋さをいつしか忘れて、人は大人になる。私も、貴方も、彼も彼女も。 この世界で人であるということは社会的共同体の一員として常識とルールを保ち恙無い日常を送るということである。 そしてそれは抑制であり息苦しいものであり自分を押し殺すことであり・・・だから大人は「子供」に憧れる。彼らの自由に憧れ、かつて居た自由な世界に。こうして、力強い彼らの物語を描かずにはいられないほどに。
その少年はクールで圧倒的に強く孤独なHERO「ブラックジャック」の熱狂的ファンである。BJを真似て黒服に黒の長コート、黒マントを身に纏い、BJの必殺技?「メス投げ」の代わりにドライバー投げを練習し、動物の死体を解剖する・・・ 多かれ少なかれ子供の頃のヒーローへの憧れは誰にでもある。魔法のタクトを振ってみたり、変身のポーズをとってみたり。 少年の母が失踪する前日、二人は昔住んでいた町を逆行して「旅」をする。しかし親子の思い出はあまりに違う。見ていたもの覚えていたこと、どれも同じはずなのに母と子、大人と少年との違いは彼を困惑させ、最大の意見の違い、BJとピノコへの思い入れの違いに行き当たる。 ピノコはあくまでお飾りの脇役、とバカにする少年に対し、ピノコこそBJの大切な強さの根源なのだと語る母。 子供ゆえの純粋さと、純粋ゆえの未熟さがあまりにリアルで、しかも身に覚えがあるからむずがゆい。どんなに姿を真似ようと、医者の真似事をしてみようと、私たち大人からすれば小賢しい、シャラクサイ、ガキっぽいママゴト遊びだ。けれど、この惹き付ける物語はなんだろう? 途中何度もこの無謀で浅はかな少年の挙手挙動に腹を立てイライラしたにも拘らず、私は最後まで見守ってしまった。 それはきっと、彼が様々な友達に出会い、空想のヒーローだけではどうにもならない試練を超え、ヒーローの中に真の強さを、この世界で強く生きていかなくてはならないその現実を受け止めるだけの成長を描いているからだ。
自分のことで手一杯の子供たちはいつだって自分の受け入れ先という「家」を探す、そうして成長しいつしか帰る場所という「家」を築いてようやく大人になるのではないか。 BJでもヒーローでも、空想の世界にでもなく、自分を生んだこの世界、愛すべき人の生きるこの世こそがMyHOMEなのだと悟るのだ。 私もいつしかそういう「家」に帰るのだろう。まだ見ぬ未来の家族のもとへ |
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