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果断  隠蔽捜査

果断(新潮社) 今野 敏著
税込価格: ¥1,575 (本体 : ¥1,500)
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出版 : 新潮社
サイズ : 20cm / 317p
ISBN : 978-4-10-300252-9
発行年月 : 2007.4
利用対象 : 一般

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内容説明

【山本周五郎賞(第21回)】【日本推理作家協会賞(第61回)】警察庁から大森警察署署長に左遷されたキャリアの竜崎伸也。その管内で強盗犯の立てこもり事件が発生。混乱する現場で対立する捜査一課特殊班とSAT。現場で指揮する竜崎の決断は−。「隠蔽捜査」シリーズ第2作。

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コメント・書評

「相棒」の右京さんもいいけど、この「果断」の竜崎もいい!
うっちー
Sep 20, 2008 12:42:14 AM
評価 ( マーク )
★★★★★

 この作者の警察ものの完成度の高さは、言うまでもないこと。本筋の警察の捜査の緊迫感はもちろんのこと、組織内部の人間関係、本庁と署の人間描写の巧みさにあらためて脱帽した。だからこそ本筋が生き生きと動き出すのだ。
 今回は、竜崎と妻の夫婦関係にも、ほろりときてしまった。警察キャリアの竜崎は仕事一筋。けれども、それを支える妻の大きさに、今回彼ははじめて気づく。妻の支えがあってこそ自分が仕事に打ちこめたのだ、と。二人きりになると、なんだか妙に照れくさく、うまく口には出せないが、彼が妻を思うなかなかいい場面があり、ぐっとくる。

 プライドは高く、まっすぐで、まじめ。人間関係には疎いが、不正や隠し事はしない。
 キャリア制度には、批判が多いが、この制度でなければこれだけの自負は生まれないのではないか。そして、そうした自負があってこそ、様々な困難を乗り越え、責任あるいい仕事ができるのではないか。そういう意味では、必要な制度でもあると、この本を読み思った。
 あちこちに、竜崎の思いが吐露されるのだが、彼のマスコミ批判には、思わずうなずいてしまった。
「左よりの大新聞などは、ここぞとばかりに人権派の識者を動員して警察のやり方を非難していた。」「もし、今政変が起こり、再び中国やロシアにような非民主国になったら、人権だの表現の自由だのと言っている大新聞は、たちまち政府の御用新聞になるだろう。」「だから、竜崎はマスコミをまったく信用していなかった。だが、国民は新聞やテレビにころりと騙される。だから、警察としてはマスコミを無視できないのだ。」
 息子のお勧めのビデオを見ての独白にも、彼のまじめさが出る。アニメなどどうせ子供だましなのだ、とたかをくくっていたが、「不覚にも感動してしまった。」というシーン。
 ナウシカ(とは記していないが、おそらく…)を見て、
「少女は戦う。…大地の怒りを鎮めるために戦う。彼女には、知恵があり勇気があり信念がある。だが、最大の武器はやさしさだ。彼女は、やさしさで不可能な戦いに勝利するのだ。…戦うため大義はいらない。ほんの小さなものでもいい。何か信じるものがあれば、そのために戦うのだ。守りたい何者かがいるなら、そのために戦えばいいのだ。」
そして、彼は、戦いに赴く。

 長年の今野ファンとしては、最近急にもてはやされ、本屋に平積みされているのを見ると、うれしいのだが、何を今更…なんて思ったりする。でも、この本も、いつもの期待を裏切らない出来栄え。最初から最後まで一気に読ませるおもしろさだ。

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