コメント・書評 |
物語がそこにあること
つきこ
Aug 31, 2008 12:32:40 AM
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評価 ( ★マーク )
★★★★
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女の子がひとり。裕福に育ち、早熟で聡明。彼女はある脚本を書き上げた。誉めてほしくて。だがその脚本をもとにした、彼女の素晴らしさを知らしめるはずの家庭劇は結局上演されずに終わる。代わりに起こった事件のせいで、ようやく互いの愛に自覚め、引き裂かれた恋人が一組。それが全ての始まり。
長い序章が終わり、時は流れる。誰が主人公なのか?見失いそうになりながらも物語は進む。不変の愛を描きたいのか、罪を暴きたいのか。運命に翻弄される人々を描きたいのか。引き裂かれた恋人たちを描きつつ、作者は別の企みを忍ばせる。時代は第二次大戦を経て現代へ。賞賛を求めていたかつての少女は多くを学ぶ。そうして迎える終章。
ああ作者は小説が書きたかったのだ。馬鹿みたいですがそんな感想しか浮かびませんでした。古今東西ありとあらゆる物語が読まれ、今なお新たに生まれ続け、暇潰しとして物語が消費される中、どうしてまた新たな小説を書くのか。小説を書くことの意味、筆をとらずにいられない衝動。そんなものをストレートかつ技巧を尽くしてぶつけられた気がしました。
エレガントな作風は上品にして緻密。冗長過ぎるきらいはあれど、何が書かれているかでも物語性十分で面白い。そして、どうして書かれたのか。そちらは本を愛する人ならきっと深い共感を寄せるに違いない一冊です。 |
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