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流れ行く者
偕成社ワンダーランド
守り人短編集
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コメント・書評 |
あのバルサとタンダが、ここに!
うっちー
Jul 6, 2008 2:04:08 PM
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評価 ( ★マーク )
★★★★★
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「守り人」シリーズの、あのバルサとタンダの子どものころのお話。4つの短編が入っている。 父を王に殺され、父の親友であるジグロとともに、追われる身になったバルサ。まだ13歳の少女とはいえ、生き抜くために、闘うすべを学び、ジグロとともに、用心棒や護衛をしながら、住むところを定めぬ「流れ行く者」として生きている。 そんなバルサが、少しでも息をつけるところが、呪術師トロガイのところだった。そこに身を寄せている間は、近くに住む心優しい少年タンダとも交流があり、ふつうのくらしに思いを馳せてしまうのだった。 村の暮らしの描写のリアルさ。風や匂いや音までも、目の前に浮かび上がる表現の確かさ。上橋菜穂子のみごとな腕に、心地よく世界に入ることができる。 たとえば、こんな一文 「長兄が、ぴしゃん、と後ろ手に戸をしめると、すん、と冷たい初秋の夜風も、夜の物音も家の外にしめだされ、粗朶木がはぜる音が急に耳につくようになった。」 また、戦いの動きも、理にかなっていて、その場でのバルサの動きが、映像で浮かぶようだ。 なにより、バルサを慕うタンダの気持ち。ジグロとともに生き、言葉に出さないが、お互いを心から思い、ふたりですっくと立っている姿の凛々しさ、せつなさ、雄雄しさ。人間として生きていく厳しさと美しさを見せられるようで、せつなくなりながらも、読む者の背中もまっすぐにしてくれるような気がする。 心から魅せられるシリーズに、また、この1冊が加わったことがうれしい。表紙の絵もすばらしい。
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