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正義のミカタ
I’m a loser
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コメント・書評 |
それぞれの正義。
オレンジマリー
Jun 12, 2008 7:27:56 AM
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評価 ( ★マーク )
★★★★★
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400ページ以上もある本書を、半日で読破してしまった事には自分でも驚いた。夢中になって、地下鉄での移動中も重たい本書を持ち運んで読み耽った。本多氏の、期待の一冊である。
ただのいじめられっ子ではなく、相当ないじめられっ子を要に展開されていくストーリーである。おぞましいいじめっ子だった畠田が、輝かしく楽しいはずのキャンパスに居た時の主人公の衝撃、手に汗を握ったくらいだ。不意に助け舟があり、主人公の生活は瞬く間に変わっていった…。
等身大の大学生活が描かれ、有り得そうな事件に有り得そうな設定。一物語としてではなく、もっと近いところから読める。弱いと決めてかかっていたのは主人公本人だけで、実はいじめ抜かれた先に得られた強さが買われて不思議な部へと導かれる。主人公が導かれた部は、キャンパスの平和を保ち続ける事。いくつかの事件を解決し、主人公はこれまでに無かったような歓喜を知る。仲間、友達、恋愛、先輩、希望、正義…。
上中下で言うと、下のカテゴリーに入る家庭で育ち、そのやるせなさや不公平さに食いしばる。人間の自然体ではないだろうか…。誰だって、自分の属さない世界は眩しく見える。奇麗事ではなく、もっとお金持ちだったら、由緒ある家庭に生まれていたら、もっと顔立ちが整っていたら…世界が違っていたかもしれない。誰しもが抱え得る感情を、包み隠さず主人公は訴える。大学進学にも苦労するような家計…。大多数の人の身に覚えがあるだろう。多くの人が共感できる感慨を、主人公は惜しげもなく表現している。
日本に限らず、世界中にそういう感情を抱いて、悔しい思いをして生活している人々は大勢いると思う。けれど、自分なりに懸命に生き抜いている。本書の主人公はそれを事細かに、そしてリアルに宿している。今属している世界から、どうやって出世していけるか考えあぐねている人だって、多いだろう。それがゆえに、法的に間違った方向へ向いてしまう人もまた、然りである。
人に手を差し伸べるもまた勇気、そして正義の一つであるけれど、踏み止まり、自身が身を置くべき場所を見極めるも勇気であり、正義の一つでもある。主人公が抱えていた葛藤全てにリアリティが感じられ、そして他人事としては考えられないものだった。社会的にさして強くも無く、けれど決して負けんとするその姿勢。自殺であったり、無差別殺人であったり、悲惨な報道が絶えない社会の奥底の一部であろう人間の心情が汲み取れる。そしてそれが深刻に重過ぎず、小説らしい軽やかさを滲ませているのは、本多氏の能力の証だと思う。展開や言葉遣いに吹き出しつつ、現代社会を自分なりに考えて読めた一冊だった。 |
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